『オンライン接客』成功の鍵は『コンビニ接客』にあった!気をつけたいポイントを解説

オンライン接客

こんにちは、坂本りゅういちです。

ようやく世の中の流れが動き出している感があって、各所では、商業施設や百貨店も営業を再開し出すなど、少しずつ小売の現場も再稼働しつつあります。

とは言っても、なかなかお客様への接客がしにくい状況は変わっておらず、これまでとは違うオペレーションに四苦八苦しているという方も少なくないでしょう。

そんな中、小売業界では、急速に『オンライン接客』の流れが来ています。

ECサイトをすでに持っている企業でも、オンラインで接客できるツールの導入などが進んでいますよね。

*呼び方として、『デジタル接客』と区別をすべきかもしれませんが、今回は、「オンラインでお客様とリアルタイムに接客をする」ことを前提とした、『オンライン接客』で呼称を統一します。

あなたのお店や会社では、オンライン接客始まっていますか?

小規模の企業は、スピード感も早いため、すでにZOOMやSkypeなどを使った動画でのオンライン接客が始まっています。(FaceTimeやLINE電話というところもありますね)

また、チャットツール(同じくLINEやSlackなども)を使った、文字情報での接客も増えてきました。

さて、そんなオンライン接客。

実際にやってみる機会が出てくると、通常の店舗での接客とは大きく違うことがわかると思います。

この記事では、オンライン接客でお客様の満足度をアップさせるために理解しておきたいポイントと、その理由についてお伝えしていきます。

店頭での”良い接客”が通用しない⁉︎

売れる販売員なら、店頭でお客様を接客する時には、いろんなことを考えます。

その中には、お客様への「気遣い」や「おもてなし」などと呼ばれる(抽象的な)要素が含まれているはずです。

例えば、お客様のお話を聞いていて、「それは大変でしたね」「わかります、そういうことってありますよね」などの共感です。

接客の世界では、お客様の言葉や悩みに共感をすることがとても大事だと言われています。共感によって、お客様の不安や不満を受け止め、共通認識を持ってくれる、私の話をちゃんと受け止めてくれる人(販売員)であるとお客様に感じてもらうことで、信頼を生むことができるからです。

売っている販売員ほど、この能力は高いため、お客様を接客する時には、雑談を交えながら共感できるポイントを次々に見つけ出し、共感してくれます。

店頭での接客(ここではオフライン接客としましょう)では、これがとても効果的なんです。

しかし!

ことオンライン接客になると、これが通用しなくなる、正確には、余計なものになる場合があることを理解しておかなければいけません。

なぜ共感が余計になるのか?

これはオンライン接客を自分が受けてみると、本当によくわかります。

お客様に共感をすることが決してダメなわけではないのですが、オンライン上では、非常に厄介なものになるのです。

例えば、アパレルショップを例に挙げてみると、こんなシーンがあります。


お客様
「暑くなってきたから、明るい色が欲しくて。黄色系のシャツを探してるんですけど」
販売員
「確かに最近暑くなってきましたよね。これだけ気温が上がると、ついつい明るい色のものを着たくなっちゃいますよね。黄色系のシャツですね。でしたら、こういうアイテムがありますよ」

一見すると、何の問題もなさそうな会話です。店頭なら。

ですが、これをチャットでやっていると想像してみてください。

上記の販売員の言葉が返ってくるまでに、少々時間がかかってしまいますよね。

加えて、お客様が聞いている「黄色系のシャツが欲しい」という要望に対して、数えてみると、4文目で答えています。


1:確かに最近暑くなってきましたよね。

2:これだけ気温が上がると、ついつい明るい色のものを着たくなっちゃいますよね。

3:黄色系のシャツですね。

4:でしたら、こういうアイテムがありますよ。←要望に答える


要するに、時間がかかり過ぎてしまうのです。

店頭ではこれでも全く問題ないのですが、オンライン上(特にチャット)では、相手の顔も見えにくく、耐えられる時間が長くはありません。

それに、お客様は明確な要望を提供してくれやすいのですから、素早くそこに答えて欲しいという願望を抱えています。その願いに応えられない状態なんですね。

これが延々と続いてしまうと、段々とストレスを感じます。

実際に、オンラインで接客を受けてみると、これは本当によくわかります。

こちらから聞きたいことがあったり、要望があって伝えているのに、それに対してなかなか応えてくれず、「そうでしたか〜、それは大変でしたね」「私もよくわかります。そうなると嬉しいですよね」みたいなフレーズが延々続くと、だんだん疲れてきてしまいます。

ZOOMなどを通した動画での接客でも、リアルに対面している状態と違って、相手の発言を待たなければいけない雰囲気がありますよね。リアルだと、空気感のようなもので会話が成立しているものが、動画を通してだとどうしてもわかりにくくなるため、この辺りのストレスもあります。

ですから、チャットにしても、動画を使った接客にしても、共感を含めた、いわゆる「おもてなし」や「気遣い」的な接客の要素が入りすぎると、ストレスを与える要因になってしまうわけです。

解決策は”コンビニ接客”?

じゃあどうすればいいのか?って話ですよね。

これを解決するヒントは、コンビニの接客にあります。

ここでいうコンビニ接客というのは、『スピード感』のことです。

コンビニという業態における接客では、お客様が最も求めるのは、なんといってもスピード感です。

自分で商品を選んでレジに持っていき、さっとお会計をして店を後にする。この流れがコンビニでは出来上がっています。

急いでいる時には、コンビニを利用するという人も多いと思いますが、レジで待たされたりすると、他の店よりも待てる時間は短いはずです。それくらい、コンビニには、スピード感のある接客が求められます。(もちろん特殊な例もたくさんありますが)

つまり、このスピード感を持って、オンライン接客に臨めばいいわけです。

先ほどの会話の例に戻りましょう。


お客様
「暑くなってきたから、明るい色が欲しくて。黄色系のシャツを探してるんですけど」
販売員
「確かに最近暑くなってきましたよね。これだけ気温が上がると、ついつい明るい色のものを着たくなっちゃいますよね。黄色系のシャツですね。でしたら、こういうアイテムがありますよ」

という会話でしたが、これだと、4文目にお客様の要望に応えることになるので、スピード感がありません。

これを、


お客様
「暑くなってきたから、明るい色が欲しくて。黄色系のシャツを探してるんですけど」
販売員
「黄色系のシャツでしたら、こういうアイテムがありますよ。確かに最近暑くなってきましたよね。これだけ気温が上がると、ついつい明るい色のものを着たくなっちゃいますよね。」

と変えてみるといかがでしょうか?


1:黄色系のシャツでしたら、こういうアイテムがありますよ。←要望に応える

2:確かに最近暑くなってきましたよね。

3:これだけ気温が上がると、ついつい明るい色のものを着たくなっちゃいますよね。


1文目でお客様の要望に応えることになるので、一気にスピード感が上がり、お客様も余計なストレスを抱えることが減ります。

共感をすること自体は決して悪ではないので、その文を後に回すことで、お客様へ寄り添っていることも伝えることができますね。

動画を通しての場合でも同様で、できる限り早いタイミングで、お客様の要望に対して応えることが大事です。

ほんのちょっとした違いなのですが、この違いが大きく出てしまうのが、オンラインの難しいところと言えます。

接客の違いを見つけていこう

こうしたオンライン接客の中では、これまで店頭で培ってきた成功ノウハウとは真逆になってしまう要素がいくつもあります。

それらをひとつずつ見つけ出し、しっかり新たなノウハウ化をしていくことが、今後の販売にとってはとても重要なことです。

今回の話はあくまでも、一つの要素に過ぎません。

商品や状況、使うツールによっても変化することなので、自店と自店が使うツールに合わせたやり方を見つけ出してください。


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ABOUTこの記事をかいた人

接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori(ここり)代表。 SC接客マイスター1級。 アパレル・時計・靴・リラクゼーション業界など、様々な販売を経験し、売上日本一など数々の実績を残す。kocori設立後は、企業研修・コンサルティング、講演などを中心に活動している。