先人たちの知恵を借りる
”本”というのはものすごい優れもので、誰かが経験したり知識を持っていたりすることを書籍という形で読むことによって自分の頭の中に入れることができるツールです。50歳の人が書いた本には、その人が50年間かけて生きてきた経験や知識が詰まっています。実際に50年分の経験を自分がするのは大変ですし、同じ人生を送るわけにもいきません。ですが、本を読めばある程度その経験や知識を手に入れることができます。
世の中には腐るほど多くの”本”が出ています。マンガ、小説、雑誌、ムック、ビジネス書、果てはゲームの攻略本まで。その中には、本当にためになる価値のある本もあれば、そうではないものも沢山あります。
今回は接客販売業に勤める人たちに向けておススメの本をご紹介していこうと思います。基本はビジネス書です。いわゆるノウハウ本も多少は含まれますが、接客販売に答えなんかないですし、ノウハウ本だけで誰でも良い接客ができるわけはありませんので、どっちかというとビジネスに対する意識づけの面を重視した本を多く紹介していきます。勉強法や仕事に対する姿勢についての本も多いかも。
前置きはこのくらいにして早速いきましょう!
紹介にあたっての注意事項ですが、当然私が読んだことのある本のみですので完全に私の主観です。
紹介する順番は順不同、敬称略。新書・単行本などの形式は問いません。
接客販売員なら読んでおきたい書籍
◆販売員の基礎
まずは”接客販売”に関しての書籍をご紹介。販売のノウハウだけをいくら鍛えても根本的な意識が低ければ絶対にお客様はついてくれません。そのあたりも踏まえておススメの書籍。
ユナイテッドアローズ 心に響くサービス(日経ビジネス人文庫) (日経ビジネス人文庫 ブルー ま 8-1):丸木伊参著
・接客販売の世界では結構有名な本かもしれない。 アパレル業界大手のユナイテッドアローズに関して様々な視点から綴ってある本だが、アローズの接客サービスに対する姿勢なども詳しく記されている。アパレル業界にお勤めの方でなくとも、接客に携わる人なら読んでおいて間違いない本。
「ありがとう」といわれる販売員がしている6つの習慣 (DO BOOKS):柴田 昌孝著
・これも有名でしょうねぇ。章立てて事例も含めた話で非常に読みやすいことも相まって大変おすすめしやすい本。お客様に愛される販売員になるにはどうすればいいのか参考にする上でも目を通しておくべきかと。
世界一のサービス (PHP新書):下野隆祥著
・少し販売の世界とは離れて、飲食業界のプロの本。著者は恵比寿にある現ジョエル・ロブションの東京一号店の初代総支配人。接客サービスのプロ意識とはここまで考える必要があるのかと身が引き締まる思いがする。個人的にはカレーの話が割と好きでした。
・ちょっとディズニー関係増えます。大ベストセラーですし、すでに読んだよと言う方も多いのでは?カストーディアルキャストと呼ばれるディズニーランド内の清掃スタッフを育てていた著者の感動的な話が満載。接客ってやっぱり心なんだよなぁ、と再認識させてくれる。
ディズニーを知ってディズニーを超える 顧客満足入門:鎌田洋著
・前述のそうじの神様よりも、もっとシステマティックな部分にまで触れた本書では、より詳しくディズニーの仕組みを知ることができる。そのうえで、ディズニーに勝るとも劣らない顧客満足度を生み出すにはどうすればいいのかを考えさせられる良書。
人を操る禁断の文章術:DaiGo著
・数年前まで”メンタリズム”を操りテレビで引っ張りだこだったDaiGoが書くビジネス書の中の一冊。今現在、彼は自分自身のブランディングに完全に成功し、セミナーや著者としての顔がビジネス界では有名です。そんな彼のメンタリズムによる、文章術を鍛えるための書籍は接客販売のPOPやDMなど意外なところで活躍するはず。
料亭、三越、ディズニーを経て学んだ 日本人が知っておきたい心を鍛える習慣:上田比呂志著
・新宿の老舗料亭、三越、ディズニーリゾートと接客において神格化されているような場で経験を積んできた著者。その著者が学んだ接客における”心”の部分に焦点を当てた良書。各章ごとに仕事のヒントとなるような一文があり、それを読むだけでも考えさせられることが沢山あります。
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ディズニーと三越で学んできた日本人にしかできない「気づかい」の習慣:上田比呂志著
・先述の『心を鍛える習慣』に続き”気づかい”に焦点を当てた本書。日本人だからこその、という部分には引っ掛かりを感じる人もいるかもしれないが、昔からの文化を含めて気づかいとは何たるかを教えてくれる。偉人たちの名言を同時に掲載しており、日本人に生まれた強みも知ることができる。
サービスが伝説になる時 新装版:ベッツィ・サンダース著 和田正春訳
・1996年に翻訳された同タイトルの新装版。泣く子も黙る全米最大のデパート、ノードストロームで販売員として働いた著者のサービス経験談や、サービス論などが満載。接客販売員をやっている人ならこういう店が世の中に存在していることを知るだけでも価値あり。
トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ! (トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 (1)):トム・ピーターズ著 仁平和夫訳
・自分自身をブランド化する、ということを目的にあらゆる角度から考察している。接客販売員にとって、会社のブランドに頼らず、自分自身のブランドでお客様を呼べることは生死を分かつ重要なポイント。自分に自信が持てないのなら、本書を読んでブランド力を身につけるべき。
「売れる販売員」と「ダメ販売員」の習慣 (アスカビジネス):内藤加奈子著
・いわゆる接客関係でよくあるノウハウ本の一種だが、接客初心者には非常にわかりやすい本かもしれない。個人的にこの内藤氏を挙げた理由は、VP(ビジュアルプレゼンテーション)などと呼ばれるお客様を引き付ける商品展開のプロだから。この書籍に限らず、別の書籍でもそのあたりについて書かれているが読んでおいて損はないはず。
買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?:デイビット・ルイス著 武田玲子訳
・極めて科学的に人間の脳がどんなことに反応するのかまで詳しく書かれた内容。マーケティング効果を狙う場合など、人がどんなシチュエーションでどんな行動を取るのかを知ることでやるべきことは変わってくる。自分が思わず衝動買いをしている時はどんなことが脳内で起きているのかを知れば、お客様への対応も変わってくる。
直感力 (PHP新書):羽生善治著
・将棋界の生ける伝説、羽生善治による本書。帯にある『自分を信じる力』というキーワードからも、自己研鑽に対する意識の作り方が学び取れる。この他にも、同氏による書籍”大局観”・”決断力”などもおすすめ。
2020年5月8日追記
買った後を想像させれば誰でもこんなに売れる!(同文舘出版/DOBOOKS):坂本りゅういち著
・手前味噌ながら、当販売力向上講座を運営している坂本りゅういちの初著書。洋服、時計、靴、そしてストレッチトレーナーとして、売上日本一など多くの実績を獲得してきたノウハウを書き綴っている。どの商品を販売していても、『お客様に伝えるべき本質』が変わらなかったからこそ、売り上げを上げ続けられたその全貌をぜひご覧いただきたい。
◆目的意識
次は会社組織として目指すべき場所はどんなところなのかについて。この辺りは働くうえで是非読んでおいてもらいたいですし、チームの人などにもすすめてもらいたい。全員の意識が同じ方向を向いていれば、会社は必ず成長していきます。
ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか:ケン・ブランチャード&ジェシー・ストーナー著 田辺希久子訳
・物語形式のビジネス書だが、ただ考えを与えてくれるだけではない超メジャーな本書。原題はFull Steam Ahead!(全速前進)。組織がどこを目指してどのように進んでいくことが価値を生み出してくれるのか、本当の目的意識とはどんなものかを必ず学ぶことができるはず。個人的には、おすすめの本を教えてと言われたら確実に挙げるであろう一冊。
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か:エリヤフ・ゴールドラット著 三本木亮訳
・世界で250万部を売り上げながら、日本の成長を恐れた著者が日本での訳本を17年も許可しなかったことで有名な本書。工場を舞台にした小説的内容ながら、とんでもない学びだらけの名著。今では当たり前のように使われる『ボトルネック』という言葉を世界中に知らしめた本でもある。
ザ・ゴール コミック版:エリヤフ・ゴールドラット著 蒼田山画
・コミック版も出版されているザ・ゴール。活字版の分厚さに心が折れそうな人はこっちでもいいかも。舞台が日本の工場になっているため、よりわかりやすいかもしれない。
◆マネジメント
続いてマネジメント関連の本にいきましょう。接客販売は昇進していくと店長やマネージャーなど、店舗管理と一緒に新たな接客販売を育てる機会が多くなります。接客販売員を育てるのは、ただ仕事を教えることと違いかなりハードルが高いものです。そういう人には是非読んでおいてもらいたいですね。ちなみにドラッカーに関しては有名すぎるためここでは省きます。
部下の哲学―成功するビジネスマン20の要諦 (PHP文庫):江口克彦著
・松下幸之助翁のもとで22年間働き続けた著者の”部下”であることの哲学論。絶対的な上司であった松下翁に対して、部下としてどんな姿勢でいるべきかをまとめた一冊。マネジメントをする側としても読んでもらいたいし、部下にも是非すすめてもらいたい。
上司の哲学―部下に信頼される20の要諦 (PHP文庫):江口克彦著
・部下の哲学に続いて、江口氏の”上司”の哲学論。部下に信頼される上司とはどんな人間かを書き綴ってある。基本はやはり松下翁の話だが、例が例だけに学ばされることしかない。良い上司とはいかなるものか、マネージャーを目指すもしくは今現在そうである方には目を通してもらいたい。
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと:マーカス・バッキンガム著 加賀山卓朗訳
・リーダーとマネージャーがどう違うのか?それぞれ優れた人はどんなことを考えているのか?マネジメントをする側にいるのであればその違いも含めて非常に勉強させられることは多い。一般的なマネジメント論とは一線を画す部分も。
ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則:ジェームズ・C・コリンズ著 山岡洋一訳
・『だれをバスに乗せるか』で有名な一文の本書。会社組織を形作る様々な要素を含めた話は、難しい話もあるが参考になることがほとんど。シリーズはいくつも出ているが、この2の『だれをバスに乗せるか』だけでも知っておきたい話。
◆番外編
ここからは番外編。ジャンルも問いません。
一語一絵:眞木準著
・本書はビジネス書ではない。一つの言葉と一つの絵を題材にしたコピーライティングの例書。数多くの企業のキャッチコピーやブランドロゴなどセンス抜群のまとめがされている。POPデザインやコピーを考える時などのために、他の多くのキャッチコピーを知ることも重要。
ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス):古舘春一著
・まさかのマンガ、しかも王道少年ジャンプから登場。タイトル通りバレーボール漫画なのだが、実はビジネスにもつながる意識的な話が多い(名言も多い)。仕事に情熱が持てないという人には是非読んでみてもらいたい。その瞬間に全力を注ぐことにどんな意味があるのかを教えてくれるはず。なぜか腐女子人気がすごいらしいというのは何とも…
レバレッジ・リーディング:本田直之著
・本田氏の数あるレバレッジシリーズの中でも本を読むことに慣れていない販売員におすすめしておきたい本書。実際私自身もこの本を読むまでビジネス書というジャンルそのものが大の苦手だった。ある意味人生を変えてくれた一冊かもしれない。本の読み方、捉え方をわかりやすく簡潔に書いてくれている本書を読めば、あなたも本好きになれるかも。
まとめ
と言うわけで、20選+番外編でお届けしましたおすすめの書籍。
個人的な主観が入りまくっていますが、少なくとも読んで損をするような本ではないと思います。接客販売員はもちろんのこと、ビジネスマンである人なら読んでもらいたい本ばかりです。
本当はまだまだおすすめしたい本は沢山あるんですけど、正直キリが無くなってしまうのでとりあえず今回はここまで。でも、その内追記したり、別の形でまた紹介するかもしれません。
その時はまた生暖かい目でご覧いただければ幸いです。(笑)
2020年7月8日第二弾【接客販売員におすすめする】今だから読んでおきたいビジネス書を紹介【14選】をアップしました。