【アパレル販売員のあなたへ】接客のコツってあるの?

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”コツ”に頼り過ぎると必ず信頼を失う

接客販売という単語で検索をすると星の数ほどの検索結果が出てきますが、その中でも”アパレル業界”のものがかなりの数を占めます。アパレル産業というのは、衣料品、特に既製品に関する産業のこと。ですから、接客販売業の大多数がアパレルメーカーにお勤めの方なんだろうなと推測しています。

で、接客販売で検索をすると速攻で出てくるのが接客販売のコツについて。みんなやっぱり何かしらコツがあるんじゃなかろうかと気にしているんですねぇ。

まぁ正直言うと、コツはあります。多分それなりの金額を売っている販売員の人はみんなそれぞれコツを持っているんじゃないでしょうか。いろいろと検索して出てきた記事を読んでいたのですが、「それってコツか?」と思うようなものがほとんどでしたけども…

ブログという誰もが見れるメディアで書くのは若干気が引けますが、一応私なりのアパレル販売におけるコツを一つだけお伝えしておきます。ですが、一つ注意点があります。

 

コツに頼り過ぎると絶対に売れなくなります。

 

そもそも接客販売はお客様と販売員の信頼関係で成り立っています。販売員が「お客様に似合うから是非着てほしい」、「あなただからおすすめしたい」という情熱を持っていることが大前提です。それが無くてコツだけでお客様に商品を売っていると、必ず信頼を失います。それは”販売”ではなく”押し売り”です。このことを最初に頭に入れておいて下さい。

 

アパレル販売のコツはやっぱりセット販売

前置きが長くなりました。ではアパレル販売のコツについて。

アパレル業の接客販売で一番重要なのは、セット販売コーディネート販売と呼ばれる複数販売。衣料品は基本的にその一点だけでは成り立ちません。どれだけデザインの良いジャケットがあろうと他に合わせる洋服が無くては外には出れませんからね。

複数販売がなかなかできなくて悩んでいる方って多いはず。実際私も洋服を売っていた時に一番気にしていたのがここでしたから。

単純に考えてお客様一人にジャケット一点を販売できる人だと10人に販売してジャケット10点が売れる計算です。それがお客様一人にジャケットを含めてパンツやシャツ、インナーや小物まで売れる人なら10人に販売すれば売れる点数は数倍に膨れ上がります。だからみんな何とか複数買いしてもらおうと躍起になるわけです。

これはメーカーの平均単価が低くても高くてもどこでも一緒。一着ウン十万円もするジャケットを売っているような店だろうと、Tシャツ一枚数百円で売っている店でも変わりません。どの店でもその店の価値を理解したお客様が来店されますから、そこにビビる必要はありません。

 

複数販売をするコツは簡潔に言うと『マイナスの提案をすること』です。 『マイナスの提案』とは、買う商品の決め方を引き算で行うということ。具体的に説明します。(図解だとわかりやすいと思うのですが、ペンタブが無しでは無理でした。ごめんなさい)

 

例として、男性のお客様がカットソーを一枚手に取ったとしましょう。この時点ではお客様の気持ちは”カットソーを買うか買わないか”という2択です。

ここでカットソーという商品の良さをいくら語っても、お客様の心理は”カットソーを買うか買わないか”のまま。気に入れば買いますし、気に入らなければ買わないという状態ですね。

 

そこで、他の商品を持ってくるのです。カットソーに合わせるジャケットやパンツ、シャツや小物など何でもいいのですが、説明しながら一気に全体のコーディネートをその場で作ってしまいます。

「このカットソーならこのシャツを着てジャケットを羽織るとカッコいいですよね。パンツはこのデニムであえてカジュアルっぽくするのもいいかもしれません。ベルトはシンプルに…」みたいな感じです。

商品を一気に見せながらも、カットソーの良さを伝えていくのですが、ここまでコーディネートで見せるとお客様の心理は”カットソーを買うか買わないか”から”このコーディネートの中からどれを買うか”になっていきます。

最終的に買う商品を決める時に、トータルコーディネートの中から必要ないものを省いていく。

これが『マイナスの提案』です。

 

極端な話、トータルコーディネートを3セット見せることができれば、”コーディネートの中からどれを買うか”という心理が”3セットの内のどのコーディネートを買うか”にすることもできます。

人は買い物をする時、心理的に買うと決めてしまってから別のものを追加することを避けます。 ご自分の経験を思い返してもらうとわかると思いますが、買う商品を決めた後に「こちらの商品もおすすめですけどいかがですか」と言われて追加することはほとんど無いはずです。

これを『プラスの提案』と呼んでいますが、『プラスの提案』が通用するのは単価の低い商品だけ。マクドナルドのポテトと同じです。アパレルで言うなら、靴下などの単価の低い小物が当てはまるでしょう。

この提案でセット販売をすることは不可能です。むしろお客様に「押し売りされている」という不快な印象を与えてしまいますから避けた方が賢明。

 

と言うわけで、ちょっと文章だと伝わりにくいかもしれませんが以上がアパレル業の販売のコツです。

実はアパレル関係なしに、ほとんどの商品がこのやり方で売れます。もちろん、コーディネートのセンスが無かったり、根本的に接客が悪ければ話にならないですけども。

セット販売に自信がない方は是非参考にしてみてください。もし、「わかりにくいよ!」という方がいればコメントでもお問合せフォームからでも何でも聞いていただければ答えられる範囲でお答えします。

頑張ってお客様に素敵なコーディネートを提供してブランドのファンを増やしてくださいね。


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ABOUTこの記事をかいた人

接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori(ここり)代表。 SC接客マイスター1級。 アパレル・時計・靴・リラクゼーション業界など、様々な販売を経験し、売上日本一など数々の実績を残す。kocori設立後は、企業研修・コンサルティング、講演などを中心に活動している。