ファーストアプローチが接客の流れを決める

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お客様がわかっていることを言っても

接客業の人が絶対に悩んでしまうことの一つに、『ファーストアプローチ』があります。最初のお声かけというやつですね。厳密にはお声かけだけの話では無いんですが、今回はお声かけに絞った話しをします。

これって何年接客業をやっていても、絶対の正解が出てくるものでもないので難しいですよね。一般的によく使われているファーストアプローチで

・いらっしゃいませ、どうぞご覧ください
・よろしければお手にとってご覧ください
・ご試着もできますので…

みたいな言葉をよく聞きます。もし今現在こういったアプローチをしていたとしたら、できるだけ使うのをやめてください。なぜかって?言われなくてもお客様はそんなことわかっているからです。

「どうぞご覧ください」って言われても、すでに見てるし見たいから店に入ってきてるわけです。

「お手にとってご覧ください」も気になれば勝手に手に取って見ます。店内に”勝手に商品を触らないでください”とでも書いてあるなら、言ってくれた方がいいかもしれませんけど。

「ご試着もできますので」だって同じですよね。試着したければ自分から言いますよって話です。

決して言うなというわけではありませんが、お客様がすでにわかっていること、当たり前のようなことをアプローチとして使ってしまうとお客様はゲンナリします。そしてそういった言葉は、これまで何十回も何百回も言われ尽して飽き飽きしています。言われても何も感情を揺さぶることが無いわけです。だからこういうファーストアプローチを使うのはお客様のためにもおすすめできません。

だったらどんな言葉を選べばいいの?

じゃあ一体どんなファーストアプローチをすればいいの?と思いますよね。

最初に言っておくと、この言葉なら絶対興味を引ける!という言葉はありません。なぜなら、お客様が同じ人間ではないからです。全く同じ言葉を使った鉄板アプローチでも、相手によっては全く効果を発揮しないこともあります。なのでパターンを沢山用意しておくことは大事です。引き出しを多く持っていれば、状況に応じていろんなお客様に対応できるようになっていきます。

そして、本題。具体的にどんな言葉をお客様に投げかければいいのか?これには2つほど頭に入れておいてほしいことがあります。

・この場だから言える言葉を伝える
・お客様に疑問を抱かせる

この2つです。

この場だから言える言葉って?

ファーストアプローチで必要なのは、まずお客様との距離を縮めることです。お声かけをした後に、いかに接客をしやすくするかがポイントになります。かと言っていきなりグイグイお客様の懐に入っていくわけにもいきませんよね。まずは心の壁を取り払っていくことが大事です。

その壁を壊してくれるのが”この場だから言える言葉”。ここで言う言葉情報に置き換えてもらってもいいです。

例えば、久々に入荷のあった商品を見ているお客様ならば

なかなか品薄で入ってこなかったんですけど、久々に入荷してきました。

といったような言葉(情報)です。これはその場、その時でしか言えない言葉ですよね。期間限定の商品や、何か特別なサービスを行なっているときなんかでも同様に使えるワードです。

こういう言葉を聞いたお客様はグッと興味を惹かれます。「あ、今日見にきてラッキーだったのかも」と思ってもらえればお客様は教えてくれた販売員の言葉を聞く気になります。「もっと良い情報を教えてくれるかもしれない」と感じますからね。

お客様に疑問を抱かせるって?

でも、常にその場でしか言えない言葉があるわけではありませんよね。(そういった情報が無い時はどうすればいいんだ!と怒りの言葉が聞こえてきそうです。)

そんな時は、お客様に疑問を抱かせることを意識してみてください。あなたが言った言葉に対してお客様が「ん?」と感じてくれるかどうかということです。(全く意味の分からないことを言うわけではありませんよ)

例えば、あなたが靴を見に行っていたとします。そこで商品を見ているときに

その靴はあんまり味わったことの無い感覚が味わえますよ。

と販売員から言われたらどう感じますか?

「え?どんな感覚?履きやすいのかな?」みたいな疑問が生まれますよね。そして急に商品に興味を持ってしまい、その感覚を味わってみたいと思うはずです。

私が時計を販売していた頃、高級時計のコーナーでよく使っていた言葉が

この時計の名前だけでも憶えてあげてください

というワードでした。

お客様からしたら「何か特別な名前でもあるの?」「え?そんなにすごい時計なの?」みたいな疑問が生まれるんです。こうやって疑問を抱かせるアプローチをするとほぼ間違いなくお客様は足を止めてくれました。「ご試着もできますよ」とか「お近くでご覧になれますよ」なんて言葉も試してみましたが、もう全然反応が違うんです。

疑問を抱いたお客様は、販売員からどんな情報が聞けるのかワクワクします。そんなアプローチフレーズが使えると、お客様も接客されるのが楽しくなるんです。

 

どんな商品にも必ずウリがあるので、そのウリが体験できたり知れたりするような言葉を投げかけてみてください。そこでお客様が興味を持ってくれれば、その後の接客で売れるチャンスが生まれてきます。

ファーストアプローチは他にも考えることは沢山ありますが、今回はひとまずここまで。別の機会でアプローチで必要な動き方なども解説していきたいと思います。


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ABOUTこの記事をかいた人

接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori(ここり)代表。 SC接客マイスター1級。 アパレル・時計・靴・リラクゼーション業界など、様々な販売を経験し、売上日本一など数々の実績を残す。kocori設立後は、企業研修・コンサルティング、講演などを中心に活動している。