研修ご担当者の方は、”現場感のある講師”を見つけてください

こんにちは。接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori代表の、坂本りゅういちです。

研修講師としてのお仕事を多くさせてもらっている私ですが、今回、研修を担当される人事や営業ご担当者の方に、どうしても伝えておきたいことがあります。

研修講師にも2タイプの講師がいる

研修講師というのは、世の中に本当にたくさんいらっしゃいます。

私もその1人なのですが、こういう仕事をしていてより強く感じているのが、一見同じように見える研修講師でも、実は、2タイプの研修講師がいるということです。

1つ目のタイプの研修講師は、活躍していた事実を伝え続けている研修講師

もう1つのタイプの研修講師は、今現在の現場感を持っている研修講師

この2タイプです。

パッと見はどなたも同じように見えるのですが、この2タイプでは、伝える内容が大きく異なります。

活躍していた事実を伝え続けるタイプの講師

研修講師をやっている人は、私も含めてほとんどの方が、昔、その業界で何かしらの実績を作り上げた人が多いものです。

例えば、業界でナンバーワンの売り上げを上げたとか。

例えば、従業員育成で、一定の成果を生み出したとか。

そういった実績ですね。

これらの実績があるからこそ、そして、その実績を体系化できているからこそ、研修という形で後進に伝えられるものがあるわけです。

これはものすごく重要なことだとは思います。

そもそも実践したことのない人の理論は、大抵が机上の空論になりがちですし、研修を受ける側からしても、実際に現場で実績を作ってきたという人の話の方が聞いてみたいものですよね。

ですから、実績のある人というのは大前提として上げられることになります。

 

ただ、問題は、それが今の時代も通用するノウハウなのかということです。

 

例としてあげるとすると、人材育成で20年前に大きな成果を上げたという講師がいたとします。

その人は、確かに20年前に人材育成の現場でスタッフを育て上げ、大きな実績を作り出したのでしょう。これはとても素晴らしいことですし、そのノウハウも、ものすごく貴重なノウハウです。

ですが、20年前からそのノウハウが何も変わっていないとなると、どうでしょうか。

ちょっと話が変わってきますよね。

 

今現在は、学生スタッフとのコミュニケーションで悩んでいる、店長やマネージャーがたくさんいます。

「学生スタッフが、まともに出勤してくれません」

「突然、無断欠勤したと思ったら、それから連絡がつかなくなってしまって…」

こういう声を、しょっちゅう聞きます。

少し前と比べても、新たな世代の仕事に対する考え方や、常識のようなものが大きく変わっているので、今の時代にあった教育の仕方やコミュニケーションの取り方を知らないと、全く対応できないのです。

にも関わらず、20年前のノウハウばかりを研修で伝え続けているとなると、まず使えるノウハウは出てこないでしょう。

上記の例はあくまでも極端な例ではありますが、これを私は、『現場感がない』という表現をしています。

ここまで酷い話はまず考えられませんが、中には、これに近い講師がいるのも事実なんですね。

これは年齢やキャリアの長さはあまり関係なく、意識の問題です。

過去の話は、勉強になること、参考になることがたくさんありますが、それ”だけ”では困るんです。

現場感を持っているタイプの講師

一方で、ほとんどの講師は、今の現場に合わせた感覚を持っています。

当然の話ですが、今と昔とでは、スタッフの感覚もお客様の感覚も、全く変わっているということはみんなわかっているので、誰もが今の現場に合わせた感覚を学ぼうとしているわけです。

そして、その中でも特に、今現在も現場を経験しようとするタイプの講師がいます。

例えば、研修先のお店で一緒に販売をするとか、

例えば、コンサル先のお店で一緒にスタッフさんとの面談をするとか、

そういった、今の現場を積極的に知ろうとするタイプの講師です。

私自身、研修講師をやりながらも、知り合いのお店にお願いをして、ちょくちょく現場に他のスタッフさんと一緒に立たせてもらうことがあります。

すると、過去の売り方とは全然違う接客をしないと通用しないことがあったり、同じように声をかけても、お客様が反応してくれないなんてこともあるのです。

だから、今の現場に合わせた売り方、接客の仕方を改めて研究する必要が出てきます。

それをするために、あえて現場に立たせてもらうようにしているのですね。

 

もちろん、お客様層である人の話を聞くヒアリングの時間も欠かせません。

特に、10代、20代の方々は、過去の自分とは全く違う感性を持っていますし、買い方も過去とは全然違うのですから、彼ら彼女らの言葉を生で聴くことで、「そういう感覚があるんだな」と知らないと、これもまた通用しなくなっていきます。

そういった中で、過去のやり方をブラッシュアップしていくということです。

選ぶならやはり現場感のある講師

おそらく多くの講師は、こうして現場感を養っているはずです。

でも、中にはそうではないという人もいます。

ですから、研修を担当される方は、まず第一に、講師が現場感を持っているかどうかを見抜かなければいけません。

たとえ年齢を重ねている研修講師でも、現場感を持っているという人も大勢いらっしゃいますし、逆に年齢が若い研修講師でも、接客どころか、大して買い物にもいかないという現場感のない人もいます。

どちらがより有益な研修をしてくれるかで言えば、やはり後者なのではないかと考えます。

 

今回の話は、何も、いわゆる接客研修だけの話ではありません。

接客研修と一言で言っても、その種類には、売り方を伝える接客販売研修もあれば、インバウンド対策としての英語・中国語研修、マナー研修や、マネジメントといった従業員教育の研修だってあるでしょう。

売り方を伝えるという研修だって、客数を増やすためのマーケティング要素が入ってくる場合もあれば、客単価を上げるための提案・ヒアリングといった研修など、本当に多くの種類があります。単なるセミナーになっている場合だってあります。

そのどれもが、今の現場に即したものでなければ、最大限の効果が発揮できないどころか、もしかすると、逆効果になってしまう恐れも出てくるのです。

 

研修のご担当者として、研修講師を探す時には、現場の皆様にとって最も有益な研修にするためにも、ぜひ現場感のある研修講師を見つけてください。

そのためには、日頃、その研修講師がどんなことをしているのかを確認すると良いでしょう。

いわゆる机上の研修だけではなくて、現場に触れる機会を、あえて作っている研修講師であれば、少なからず現場感を持っているはずです。


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ABOUTこの記事をかいた人

接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori(ここり)代表。 SC接客マイスター1級。 アパレル・時計・靴・リラクゼーション業界など、様々な販売を経験し、売上日本一など数々の実績を残す。kocori設立後は、企業研修・コンサルティング、講演などを中心に活動している。