販売員の記憶力
販売員の記憶力というのは、大したものだなと思います。一度接客したり、来店された方のことをよく覚えているからです。
これは暗記モノのテストが大の苦手だった私でもそうです。
一度ご来店いただいた方の顔はかなりの確率で記憶しています。テストは赤点でも、お客様の顔はわかるんですね。
ただ中にはやはり、あまり記憶にない、何人接客しても覚えていないという人もいます。
不思議ですよね。この違いはなぜなのでしょうか。
話は変わりますが、私には接客の師匠とも呼べる人がいます。
その人は、一度お店に来たことのある人は接客をしていなくても覚えていました。
他の販売員が接客していた人でも覚えているので、お客様との会話がスムーズなのです。
当然、めちゃくちゃ売ります。
で、なぜそんなに覚えていられるかと尋ねると、
『興味の対象がどこか』
これが大事だと言うのです。
記憶できない販売員は、興味の対象が商品なのだそうです。
そのお客様に買ってもらいたい商品、提案したい商品に集中して接客をしている。
そうすると、次にお客様が来店されても記憶にあるのは商品のことなので、お客様を見ても思い出せないのだと。
デキる販売員は違います。
興味の対象が商品ではなく、お客様なのです。
『このお客様に満足して帰ってもらうにはどうしたらいいだろう』
『このお客様に何を提案したら喜んでもらえるだろう』
そう考えて接客をしているから、常にお客様に興味を持っています。
そうすると、必然的に脳の中にはお客様の情報が増えていくので、次回来店時にもすぐに思い出せるらしいんですね。
この話は、脳科学的に本当にそうなのかはわかりません。
ただ私はものすごく納得しました。
確かに、商品を売りたいと思って接客をしているときは、商品が売れたことばかり記憶しています。
どんなお客様だったかは思い出せないんです。
逆にお客様に喜んでもらうことを考えて接客をしているときには、すぐにお客様の記憶がよみがえります。
モノを見て接客するか、ヒトを見て接客するかの差で記憶力は変化していたのです。
それに慣れてくることで、次第に接客しなくても一度顔を見たお客様は記憶できるようになりました。(もちろん完璧ではありませんけどね)
接客をするときには、何に興味を持って接客するか。
これに気づけると、記憶力は大きく変化します。