守破離にならう
四月ということで多くの会社で年度が切り替わり、新入社員が入社しているころではないでしょうか。
これから初めて接客販売を経験するという方も沢山いるはず、なので今回はそんな新人販売員におくる仕事のやり方のコツをお伝えしようと思います。新人ではない方も、指導の参考や自分の仕事の向上につなげてもらえれば嬉しいです(^^♪
さて、皆さんは『守破離』という言葉を聞いたことがありますか?
ビジネス書をよく読むという方なら結構目にする機会は多いかも。
『守破離』とはもともと、日本古来の『道』文化(武道や茶道などですね)が発展・進化してきた過程のベースとなっている思想のこと。守・破・離の3つがそれぞれに意味を持っています。
簡単に解説していきます。
『守』は型を守ること。
何においても型と呼ばれる基本がありますが、その型をまずはしっかりとできるようになろうという話です。一般的に設けられているマニュアルの中の項目をきちんとできるかどうかという点も含まれてきますね。
『破』は読んで字の如く型を破る段階のこと。
守で身につけた型にアレンジを加えて自分のものにしていくという感覚というとわかりやすいでしょうか。
『離』』は型から離れること。
守・破で学び身につけたことから完全に自分のスタイルを作り上げて自分自身の境地に向かうことですね。
ちなみにこの『守破離』の語源とされている言葉には続きがあります。
もともとの言葉は『守り尽くして、破るとも、離るるとも「本」ぞ忘るな』というもので、守破離を踏襲して自分の道を作り上げても本質である基本を忘れちゃいけないよ、と言っているんですね。
と、『守破離』についてごく簡単に解説していきましたが、現代の新人販売員には少しわかりづらい部分もあるかと思います。そこでこの『守破離』の精神をもとに実際に接客販売員として成長していくために何をしていけば良いかをお伝えしていきます。
『見る・真似る・オリジナル』の3ステップ
新人接客販売員ならこれからどんどん接客をして、販売をして、それ以外の仕事も覚えて、とやることは山のようにあります。その一つずつがやっぱり大変です。これから本当にやっていけるのか不安になっている人もいるはず。
ですが、基本の3ステップを覚えて実践していけば心配はいりません。確実にできるようになっていけば、自然と仕事はできるようになっていきます。
その3ステップとは『見る・真似る・オリジナル』の3つ。
さきほど解説した『守破離』を踏襲したやり方です。
1.見る
観察する、と言い換えるとわかりやすいでしょうか。
まずは先輩や上司の仕事をとにかく観察しまくってください。
入社したての頃は、正直何をしていいのかが全くわかりません。何から始めていいのかすらわからないのが当たり前ですから、まずやるべきことは先輩たちが何をしているのかをよく見て覚えること。
接客をしている先輩がお客様にどんな商品提案をしているのか、どんな言葉を使ってアプローチをしているのか、お会計はどうやっているのか、商品の取り扱いはどこに注意しているのか、など一挙手一投足に至るまで観察する。
そうすることでどんな動きをして、どんな話し方をすればいいのかがわかるようになってきます。
これは接客だけに限らず、仕事の全てにおいて言えることです。
最初は観察!ここからスタートしていきましょう。
2.真似る
しっかりと観察して、何をすればいいのかがわかったら次の段階。真似ていきましょう。
いきなり自分なりにやってみようとする人がいますが、はっきり言います。無理です。
ある程度経験を持っている人なら話は別ですが、右も左もわからない新人販売員が自分なりの仕事をやれるわけがありません。最初は観察した仕事を真似ていく。これが一番です。
先輩がやっていたことをそっくりそのまま真似て構いません。
お客様へのアプローチのやり方、お会計の仕方などさっきしっかり観察しましたよね?それをそのままやってみてください。そこから始まっていきます。
真似をしていると、段々とお客様の反応に違いがあることがわかってきます。そんな時にどうすればいいのかを考える。先輩たちはそんな状況でどう対処しているのかをまた観察する。そうやって繰り返し繰り返しレベルを上げていくんです。
真似をすることがはばかられるようなことは無いとは思いますが、もしやりにくいようなら真似をする相手に「わからないので真似させてください」と伝えましょう。まともな先輩や上司なら喜んでOKしてくれますから。
ちなみに私の場合、販売のうまい先輩の立ち姿や話し方まで真似ていました。もうその時はいったん自分を捨てている状態だったと思います。そうすると次第にお客様が頼れる販売員がどういう人なのかまでわかるようになってきたんですね。
物事を覚えるには自分で全て考えるよりも真似たほうが絶対に吸収しやすいですから、必ずこの段階は踏みましょう。
3.オリジナル
見て、真似て、先輩たちの仕事をものにできるようになってきたらいよいよオリジナル。
自分なりのやり方を作り上げていく段階です。
ここまで来るころには、どんな接客をすればお客様が喜んでくれるのか、信頼されるのかも何となくわかるようになっているはずです。接客だけでなく、他の仕事でもどんな仕事のやり方なら素早く的確な仕事ができるのか見えてきます。
そこで自分ならどうするかを考えましょう。
今まで先輩がやっていた商品提案をもっと自分らしいセンスでできないか、先輩がやっていた作業を自分の得意なやり方でやればスピードアップできないか、などを考えていき実践していくのです。
一つ一つをしっかり考えて、より良くするためのオリジナル。
ここまで来ればあなたはもう立派な一人前の接客販売員になれているはずです。
以上、3つの『見る・真似る・オリジナル』のステップを段階ごとに進んでいけばどんな人でも必ず成長していけます。是非参考にしてみてください。
最後に一つ。
新人販売員としてこれから店頭に立つ皆さんでも、お客様からすればプロフェッショナルであることに変わりはありません。たとえわからないことがあっても投げ出すのではなく、お客様のために何かできないかを考えてください。
これから先たいへんなことは沢山ありますが、お客様に喜んでもらえた時の快感はそんなことをふっとばしてくれます。
接客販売を楽しんで仕事に取り組んでいってくださいね!