販売員にとって、基本のき。だけど難しい!
接客販売という仕事で、誰もが一度はつまづくポイントであり、誰もが悩んでいるポイントでもあるのが、『声かけ』。
お客様に声をかけて、接客のきっかけを作る接客行動のことですね。
(『お声かけ』『お声掛け』など、いろんな表記があると思いますが、今回は、『声かけ』で統一いたします)
接客を始めたばかりの、多くの販売員が、この『声かけ』で苦労することになります。
下手をすれば、『声かけ』ができなくて、早々に退職の道を選んでしまうという人も…。
そうならないためにも、まずは、『声かけ』の基本を知っておきましょう。
失敗しやすい声かけ
まず、失敗しがちな声かけについて確認しておきましょう。
声かけにおいての失敗とは、主に、「お客様が離れてしまうこと」とされます。声をかけた途端に、お客様が「いや、大丈夫です」と早々に逃げていく(離れていく)ような場合です。
これはやはり成功とは言い難いので、失敗してしまったと言えるでしょう。
失敗しやすい声かけには、いくつかの種類があります。
・お客様の心情を考えずに、とにかく声をかけてしまう
→お客様がゆっくり見たいと思っているかもしれないのに、いきなり「今日は何をお探しですか?」といった声をかけて、接客しようとすると、だいたい失敗します。
・お客様の様子を見てもいないのに、とにかく声をかけてしまう
→お客様の様子、例えば、明らかに商品に興味を示していないような状況にも関わらず、声をかけて接客しようとしても、やっぱり失敗します。
・自分勝手(販売員勝手)な声かけをしてしまう
→販売員が接客をしたいからと、「こちらの商品は〜」「これ可愛いですよね〜」といった声かけをしても、失敗しやすいです。
・お客様の背後から、驚かせるような声かけをしてしまう
→お客様に気づかれないような位置から、いきなり声をかけると、驚かせてしまうばかりで失敗することが多いです。
・お客様をつけ狙うような声かけをしてしまう
→声をかけたら、お客様の後ろをずっと付いて回って、まるで獲物を狙うようなやり方をしても失敗します。
代表的なものはこのあたりでしょうか。
声かけで失敗してしまうと、接客自体がそもそも始められませんので、まず売れる確率も下がっていきます。
ですから、声かけをするなら、やっぱり成功したいですよね。
成功しやすい声かけの基本
ということで、次は、声かけで成功しやすいとされるパターンについて考えてみましょう。
・お客様の心情に合わせた声をかける
→お客様が商品を持っていて、意見を求めていそうな時や、お客様があたりをキョロキョロと見回しているような時などは、お客様も販売員を探していることが多いです。こういう時に、「ご案内しましょうか?」「何かお探しですか?」といった適切な言葉をかけると、成功しやすくなります。
・いきなり話し込もうとしない
→声をかけて、早々に話し込むのではなくて、お客様の様子を見て、「まだあまり話したい雰囲気ではないな」と感じるようなら、再度様子を見るのも手です。
・商品説明を長々とし過ぎない
→声かけでは、商品説明をすることが多いものですが、上記同様に、あまり長い商品説明を最初にし過ぎると、お客様も聞く姿勢が作れていないので、疲れてしまいます。まずは、商品説明もほどほどに留めておくと良いでしょう。
・声かけの位置を考える
→一般的な接客心理では、お客様の進行方向から声をかけると成功しやすいと言われています。バッグを抱えていない側(右肩にバッグをかけていたら、左側)から声をかけると良いともされます。また、お客様の背後や目の前からではなく、斜め45度くらいの視界に入る位置から声をかけることで、お客様にも自分(販売員)の存在がわかり、驚かせることも少なくなります。
・距離に気をつける
→パーソナルスペースと言われる、人と人が心理的な負担を感じにくい距離があります。初めて接客をするお客様には、最低でも1m強程度の距離を確保して声をかけると良いでしょう。それよりも近くなると、心理的な負担を感じて、引かれてしまう恐れがあります。
上記のような声かけのやり方を踏まえると、比較的、成功率も上がってくるはずです。
大事なのは、お客様のことを考えること
そもそも、『声かけ』については、お客様はあまり求めていないという場合が多くあります。
基本的にお客様は、接客されるのを避ける傾向にあるため、声をかけられるイコール、「接客されてしまう」と感じて、身構えてしまう人が多いのです。
ですから、声かけを成功させるために最も大事なのは、『お客様のことを考える』ということ。
どんなタイミングが適切なのか、どんな言葉(フレーズ)で声をかけるのか、いきなり商品のことからではなく、天気の話や、お客様の持ち物について声をかけた方が良いのか。
そういったいろんな要素を踏まえて、お客様がどんな声かけをされれば、接客を受けたいと思ってくれるのかを考え、実践する。それが大事です。
また、声かけに確実に成功するというやり方はありません。
お客様によって、感じ方も求めるものも変わります。
そして当然、販売員であるあなた自身がどんな人かによっても。
なので、あなた自身に合うスタイル、あなたのお店に合うスタイルで声をかけるようにしないと、やはり失敗してしまう恐れが高まります。
自分なりのやり方を見つけて、声かけが成功するように考えてみてください。