今回取り上げたいのは、よく耳にするNGワードのことではありませんので、最後までしっかり読んでいただくことをお勧めします。
接客をしている最中に、『使うべきではない言葉』とされるものがいくつかありますよね。
よく挙げられているものですと、「〜の方」や「〜になります」「〜から」といった、いわゆるファミレス敬語やバイト敬語と呼ばれるものです。
これらの言葉は、単に、敬語的な間違いとか、日本語としての間違いという意味で、NGとされています。
なぜNGとされるかは、他のウェブサイトなどで見てもらえれば良いとして…
今回の記事では、販売員として、お客様に使って(言って)しまうと購買意欲を下げてしまう恐れのある言葉や、会話が続かなくなってしまう言葉についてお伝えしたいと思います。
無意識に接客の中でこれらの言葉を使ってしまっていて、知らず知らずのうちに、販売チャンスを自ら潰してしまっているかもしれませんよ。
どんな言葉を使うとまずいの?
それでは、プロの販売員として、使うべきではない言葉を3つほど挙げてみましょう。一緒に解説もしていきます。
1)「〜しかない」
お客様から、お問い合わせを受けた際に使ってしまいがちな言葉です。よくあるパターンとしては、
お客様:「このTシャツの色違いはありますか?」
販売員:「白と黒しかないんですよ…」
みたいな流れですね。
言い方としては、「〜しかないです」や「〜しかありません」といった言い方になるかと思います。
この返し方をしてしまうと、残念ながら、お客様の購買意欲は下がります。
なぜなら、販売員側から、種類の少なさがデメリットであるとアピールしているようなものだからです。
「〜しかない」という言葉は、「この程度しかない」「これだけしかない」といった、ネガティブな言葉に聞こえてしまうのです。
お客様は、特段そんなつもりもなく、ただ質問しただけだったのかもしれないのに、販売員が「これだけしかないんですよねぇ」的な返し方をしてしまう。するとお客様も、「種類が少ないのかなぁ」「あまり良いのがないのかなぁ」と、何となく感じ始めてしまいます。
これがもし、
お客様:「このTシャツの色違いはありますか?」
販売員:「こちらは白と黒の2色ご用意していますよ」
という返し方になっていたら、ちょっと感じ方が違いますよね?
同じ2種の色違いなのに、この返し方だと、数が少ないとは感じません。わざわざ、そう感じさせるような言い方になっていないからですね。
言葉一つで、「これだけ」「少ない」という印象を植え付けてしまう可能性があるため、「〜しかない」という言葉を無意識に使ってしまうのは、あまりよろしくないのです。
もちろん、「残り〇〇点しかないんですよ」というような、残り少ない在庫だということをアピールするなどの場合には、有効とされることもありますので、どんな場面で使うべきではないのかは、しっかり確認しておきましょう!
2)「お兄さん・お姉さん」
お客様のことを、「お兄さん」や「お姉さん」と呼んでしまうことです。
最近になって、よく使われ出した言葉の典型かもしれません。特に、若い販売員の方の接客で耳にすることが多いですね。
販売員:「お兄さん、似合いますよ〜」
こんな感じで使っていたりはしませんか?
この「お兄さん・お姉さん」をなぜ使ってはいけないかというと、理由はシンプルです。
馴れ馴れしく聞こえて、失礼にあたるからですね。
実際、初めて出会ったよく知りもしない販売員に、いきなり「お兄さん、アウターお探しですか?」なんて言われたらどう感じますか?あまり良い気はしませんよね。
そのせいで、接客を受ける気を無くさせてしまう可能性もありますし、最悪の場合、あまり教育をされていない販売員だと思われてしまうかもしれません。
相手はお客様なのですから、呼称は「お客様」が正解です。ですから、お客様のことはお客様と呼べる癖をつけておくことが大事。
ただ、「お客様」と呼ぶと、あまりに仰々しいから、あえて「お兄さん・お姉さん」を使うという人もいます。
この場合でも、トップクラスで活躍している販売員は、「お兄さん・お姉さん」という言葉は使いません。仰々しく感じる、もっと距離感を縮めたいという理由なら、”お名前”でお呼びするからです。
「〇〇様」や「〇〇さん」という呼び方ですね。
接客の流れで、スムーズにお名前を聞き出すことができるので、初対面の早い段階でもお名前呼びすることができるようになります。(これについては、別の機会に書きたいと思います)
どちらにしても、極力「お兄さん」や「お姉さん」といった呼び方は避けるようにしましょう。
3)「基本的には」
何とも日本的な言い回しとも思える言葉。この「基本的には」という言葉は、私も使ってしまいがちなのですが、あまりよろしくありません。
というのも、「基本的には」ということは、例外もあるという意味に捉えられてしまう恐れがあるからです。
お客様:「この商品を用意してもらうことはできますか?」
販売員:「申し訳ありません。基本的にはできません」
流れとしてはこんな使い方になりがちですが、これを聞かされると、お客様は、「じゃあ、常連にはやってるってこと?」と感じてしまうかもしれません。
もちろん、実際にはそういう場合もあるでしょう。顧客と呼ばれるようなお客様には、特例の対応をすることも、お店としては往々にしてあります。
ただ、すべてのお客様が、必ずしも、そのことを理解してくれるとは限りませんよね。
「初めての客にはサービスしてくれないのか」と思われてしまうのは避けたいものです。
ですから、無意識のうちに使ってしまいかねない「基本的には」という言葉は、使わないことをお勧めします。
お客様:「この商品を用意してもらうことはできますか?」
販売員:「申し訳ありません。当店ではできかねます」
わざわざ「基本的には」という言葉を使って、余計な疑問を持たせることのないように、ハッキリとした物言いが時には必要です。
上記で挙げたような言葉以外にも、お客様の買い気を無くさせてしまったり、余計な疑問を持たせてしまうような言葉はたくさん存在しています。
もちろん、状況やお客様によっても変化することなので、一概には言えませんが、自分なりに、「これは使うべきじゃない」という判断が下せるかどうかが大切です。
せっかくの機会ですので、ご自分の接客でついつい使ってしまっているような言葉を、改めて考えてみてください。
もしかすると、その言葉が、お客様の買い気を左右していることもあるかもしれませんよ。