
最近、ある商業施設に入っているお店で店頭OJTをやっていたところ、今回のタイトルのような話になりました。
お客様を接客中に出てきたワードをどう切り返すかで、売れるかどうかが変わってくる、というお話です。せっかくなので、ここで詳しく書いておきたいと思います。
お客様の心象を大きく変える!?『ポジティブ返し』と『ネガティブ返し』
今回のお題は、『ポジティブ返し』と『ネガティブ返し』です。(ポジティヴ・ネガティヴでも良いのですが、今回は統一して”ブ”にさせていただきます)
これは、アパレルだろうと、雑貨だろうと、どんな商品を販売しているかは関係なく、接客では重要なポイントです。
とはいえ、これだけ書かれても、何のことかわかりませんよね。それぞれ、ご説明します。
『ポジティブ返し』とは、会話の中で出たあるワードを、ポジティブに感じられるように返すことを言います。(そのまんま)つまり、Aというワードが出たとしたら、それがさもメリットに感じられるような返しをすることですね。
反対に『ネガティブ返し』とは、会話の中で出たあるワードを、ネガティブに感じてしまうように返してしまうことを言います。こちらの場合は、Aというワードが出たとしたら、それがデメリットに感じられるような返しをしてしまうということです。
ここまでで、もう何となくお気づきかとは思いますが、売れる販売員を目指すのであれば、いかに『ポジティブ返し』を多用できるようになるか、そして、いかに『ネガティブ返し』を減らせるかが大事だということです。
意外とやりがちな『ネガティブ返し』
販売員は意外と、何も意識せずに『ネガティブ返し』をしてしまっていることが少なくありません。
例えば、わかりやすいものだと、こういうパターンです。
お客様:他の種類はありますか?
販売員:当店ではこれだけなんですよ。
これは典型的な『ネガティブ返し』の例です。
「これだけ」という返しによって、お客様にとっては、デメリットに聞こえてしまうことがお分かりいただけるかと思います。それにより、「この店は、種類が少ないんだなぁ」と受け取られてしまうわけです。
また、こういうパターンもあります。
お客様:製造国はどこですか?
販売員:中国です。
お客様:中国ですかぁ…日本じゃないんですね。
販売員:そうなんです…。
こうやって返してしまうと、中国製であることがデメリットのように聞こえてしまうと思いませんか?
せっかく気に入ってくれていたとしても、返し一つで商品の魅力が大きくダウンしてしまい、購入に繋がらなくなってしまう恐れまで出てきます。
実を言うと、多くの販売員が『ネガティブ返し』をしてしまいやすいのには、ある理由があります。
それは、お客様がデメリットだと思って発言したことに対して、「そうなんです」や「はい」など、肯定をしてしまうだけだと、それだけで『ネガティブ返し』になってしまうのですね。お客様がネガティブに感じていることを肯定してしまうことになるので、その意図がなかったとしても、ネガティブに聞こえてしまうのです。
↑の例なんかは、まさにそういう事例です。
『ポジティブ返し』になるとどうなるのか?
では先ほどのような会話で、販売員が『ポジティブ返し』をすると、どうなるでしょうか?
こちらも同じような会話を例に挙げてみますね。
お客様:他の種類はありますか?
販売員:当店ではお客様に人気のある商品だけを取り扱っていますので、こちらの種類のみでご案内しております。
少し返しは長くなってしまいますが、何か違う感じがしませんか?
先ほどの例と比べると、扱っている商品の数が同じだとういことは変わらないのですが、厳選された商品だけを取り扱っているであろうことが伝わってきますよね。
これが、『ポジティブ返し』、つまり、お客様にとってメリットであると感じてもらうための返しになります。
同様に、もう一つの例も見てみましょう。
お客様:製造国はどこですか?
販売員:経験のある職人を集めた中国の工場で作っています。
お客様:中国ですかぁ…日本じゃないんですね。
販売員:はい。あえて中国で生産することで、人件費を安く抑えて、この価格で提供できるようにしています。
こちらもどうでしょう?
結論から言ってしまうと、日本で製造しているわけではないという事実に変わりはありませんが、同じ中国製でも、聞こえ方が違うことがお分かりいただけるかと思います。
ポジティブで返すための書き出しトレーニング
では、『ポジティブ返し』ができるようになるためには、どんなことをすれば良いのでしょうか?普段から、接客で意識することはもちろんですが、その前に、やっておいた方が良いこともあります。
一番オススメしておきたいのは、書き出しトレーニングです。
ノートなどに書き出して、事前にポジティブに受け取れるような情報を整理しておくのですね。
簡単なやり方をご説明します。
まず、お客様が感じるであろう『ネガティブ』な要素、つまりデメリットを書き出してしまいます。
「製造国が日本ではない」
「価格が高い」
「手入れが面倒」
など、いろんな『ネガティブ』が、自店で扱う商品にはあるはずです。
それらを書き出すことができたら、次に、デメリットがメリットに感じられるような言葉を考えます。
「製造国が日本ではない」⇨人件費が安くなる
「価格が高い」⇨それだけ素材にこだわっている
「手入れが面倒」⇨大事に使うことで愛着が湧いてくる
こうして、事前にデメリットをメリットに変換する言葉を考えておくことで、いざ店頭でお客様を接客中にこんな場面に遭遇しても、難なく対応ができるようになります。
(頭の中にある程度の答えを持っていないと、いざという時には出てきませんので、書き出してみて頭にストックを作っておくことは大事です)
こういったトレーニングもしながら、あなたのお店の商品のデメリットを、『ポジティブ』に返せるような接客を身につけてください。
必ずお客様の反応が変わってきますよ。