外部から講師を招聘して、社内で研修を実施しようとお考えの方(経営者や人事担当者など)は、結構いらっしゃいます。
でも、それなりの(少なくない)金額を払ってまで、外部講師に研修を頼む必要があるかどうかについては、実際にやってみるまではわかりませんよね。
そんなわけで、研修講師やコンサルタントとして、いろんな企業に関わらせてもらっている坂本自身の経験も含めて、外部講師に研修を頼む場合に考えておきたい、メリットやデメリットについてお伝えしておきたいと思います。
まだ外部講師を呼んだことがないという方には、多少なりとも参考になるかと。
第三者目線と同時に、個人的な見解が数多く含まれていますが、あくまでもイチ講師の考えとしてお読みいただければ幸いです。
そもそも、どんな種類の講師がいるのか?
『外部講師』と一口に言っても、講師の活動スタイルは様々です。
私のような、個人として活動している講師もたくさんいますし、大手の研修会社などのようなところに登録されていて、派遣されるというスタイルの講師も、同様にたくさんいます。
大きく分けて2タイプの講師にも、それぞれの特徴がありますので、以下をご参照下さい。
企業(研修会社)講師の場合
・講師自身が、研修会社の基準を満たしているため、安定感がある
研修会社に登録したり、所属するためには、ある程度、講師としての(修行的な)トレーニングが行われます。
大手の研修会社になればなるほど、講師の基準のハードルも高く、トレーニングに関しても充実しているため、きちんと下積みを積んで、トレーニングを行ってきた安定感のある講師が揃っています。
また、いろんなジャンルに渡って、多種多様な講師が在籍しているところも多く、自社の悩みや要望に沿った研修をしてくれる可能性も高くなります。
個人(フリーランスや、個人事務所・会社)講師の場合
・実力は人によってまちまち
フリーランスや個人企業で講師業をやっている人の場合、研修会社と比べると、実力にバラツキがあります。
極端なことを言えば、リアルタイムで行われる研修に対応できず、ただテキストを読んでしまうだけというレベルの講師も存在している可能性すらあります。(そんな講師の場合は、すぐに廃業することになるのでまずありえませんが)
ただ逆に、企業講師と比べて、自由度も高いため、一般的な研修の範疇を超えるような、ものすごくレベルの高い研修をしてくれる講師もたくさんいます。そもそも、個人レベルで仕事が取れているという時点で、それなりの実力を持っているわけですから、そういう講師に出会いやすいのは、こちらのタイプかもしれません。
とは言え、研修会社や、以前の会社勤め経験の中で、講師としての実力を身につけていない人も少なくないので、依頼する側の見極めが肝心ともいえるでしょう。
ざっと挙げただけでも、講師にもそれぞれの特徴があることがお分かりいただけるかと思います。この特徴も、”絶対に”というわけではなく、やっぱり講師自身の力量に左右される部分が大きいです。
どちらを選ぶかに関しては、企業それぞれの考え方や好みもあると思いますので、好きな方を選んでくださいね。
外部講師を招くメリットは?
では続けて、外部講師を使う場合のメリットについてお伝えしていきます。
私が研修講師をやっているからというわけではありませんが、外部講師を招いて研修を実施するメリットは少なくありません。以下にまとめていきますので、じっくりご覧いただき、ご検討の材料にしてみてください。
1.その道のプロ(スペシャリスト)の講義が聞ける
研修講師をやっている以上は、その講師は少なからず、その道のプロであり、スペシャリストです。そのため、かなり的確で、且つ、自社の悩みや弱みを改善してくれる手助けになるような意見を聞くことができます。
社内研修との大きな違いもあって、社内講師を使った研修では、『ベテラン社員が自分の方法を伝えるばかりで、うまく教えられない』なんてことになりがちですが、研修講師は教えるプロなので、うまく落とし込むことができます。そういう意味では、教え方の参考にもなる部分があります。
2.外部目線の意見が聞ける
1に関連するのですが、自社内からの目線ではない、第三者目線での意見を聞くことができます。これにより、自社内だけで解決しきれない問題の解決に繋がることも少なくありません。研修内での質疑応答などでは、参加者のパーソナルな問題を一気に解決してくれるということもあります。
新たな視点や発想の獲得に繋がるという意味でも、外部目線の重要性はお分かりのことと思います。
3.他社の事例などの情報を知ることができる
これもできる外部講師の特徴なのですが、他社の事例などの役立つ情報を教えてくれる場合があります。もちろん企業名を実際に出すことはまずありませんが、同業他社や近しい企業などでの成功事例・失敗事例を数多く知っているのも、研修講師の特徴です。
それらを、研修を実施する企業に置き換えて、有益な情報として伝えてくれる講師もいるので、これも非常に重要度が高いメリットです。同時に、他社と比べて自社がどうなのか?という視点の獲得にもなります。
4.単純に楽
これは、研修を担当されている方の話になるのですが、研修講師が研修プログラムを組んで、講師をしてくれるので、研修企画自体が楽に進行するというメリットもあります。
自社内での研修の場合は、研修企画自体がかなり大変ですし、ツール(レジュメなど)作成などの作業も増えます。真面目な話、研修資料を作るだけでも、慣れていないと相当な時間と労力を要するため、外部講師に任せることで、この苦労を削減できることにもなります。
他にも多くのメリットはあるのですが、わかりやすいものを挙げさせていただきました。
外部講師を招くデメリットは?
それでは、外部講師を招くことによるデメリットはあるのでしょうか?
ここについては、皆さんが気になる部分だと思いますので、(研修講師の身でありながら)バカ正直に書かせていただこうと思います。
1.費用がかかる
一番のデメリットは、お金に関することです。
社内講師を使う場合と比べて、外部講師を招聘する場合は、どうしてもある程度の費用がかかります。
研修の内容や、人数、講師によってもバラバラなのですが、だいたい2時間前後の研修で、10〜30万円前後。1日通しての終日研修になると、25〜50万円以上ということもあります。(ほとんどの場合、別途交通費もかかります。当事務所も同様です)
この費用をかけてでも尚、メリットを提供できるのが研修講師の役目でもありますが、そうは言っても先立つものは必要なわけです。
ただ、ぶっちゃけた話、社内で研修企画から資料作成などをやることも含めた労力との天秤にかけた場合、スペシャリストの講義が聞けるという点なども鑑みると、どちらが良い・悪いとは一概には言い切れないとも思います。
2.一回だけの研修で成果を出すのは難しい場合が多い
これに関しては、私のクライアント企業の方々全員に最初にお伝えすることでもあります。
講師にもよるかもしれませんが、基本的に私の場合は、一回だけの研修をやったからと言って、必ず成果が出るとは言い切りません。というか、正確には、研修直後の効果は出るものの、継続ができるかどうかの問題です。
どんな研修でも、研修を受けた直後の意識は高まることが多くて、すぐに成果につながることはあります。しかし、それが継続できずに、また元の状態に戻ってしまうと、結局「あまり意味が無かったね」という話になってしまいます。
こうならないためにも、(私の場合は)一回の研修だけではなく、その後のフォローアップであったり、サポートのご提案までも一緒にさせていただくことがほとんどです。そこまでを見据えて、研修の実施を考えていけるかどうかはとても重要と言えますね。もちろん、社内で研修を行う場合も同様です。
3.最終的には、”人”による
身も蓋もないような話になってしまいますが、最終的には、”人”によるのが外部講師です。
研修は、ある程度体系化されている場合もありますが、結局のところ、講師の力量に左右されます。ですから、せっかくお金をかけてまで講師を招聘したにも関わらず、まったく身にならない研修だったり、自分たちとは全然関係のないような話ばかりになってしまうということもあります。
(実際に聞いた話では、若者向けのレディースアパレルショップの研修にも関わらず、お客様の事例が、天皇家の事例だったなど、にわかには信じられないような事案もあったそうです)
この辺りは、事前の打ち合わせなどをしっかりやってくれる講師にお願いしたり、ある程度信頼できそうな講師を選ぶなどの、企業側の感覚も必要と言えるかもしれません。
主なデメリットは、こんなところではないでしょうか。
メリット・デメリット共に、いろんな考え方もあるとは思いますが、外部講師を招いて研修を実施しようとお考えの方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
どちらにしても、実際に外部から講師を招いて研修をやってみたり、社内講師を使って研修をやってみたりしないと、わからない部分も多々あります。
研修内容によっては、デメリットのところで書いた『一回で成果を出すのは難しい』ということもなく、一発の研修で、一気に激変するなんてことだって、大いにありえます。
具体的に、『どんな研修を実施したいのか?』『どんな研修ができれば従業員のためになるのか?』をしっかりとお考えいただき、その想いを講師にぶつけて、共感してもらうことも、良い研修にするためには、とても重要です。
適切に外部講師を活用して、従業員教育にお役立てください。
もし、内容についてのご質問等がございましたら、info@kocori.com(kocori坂本)までご連絡いただければ幸いです。