久々のTSUTAYAには素敵な空間が生まれていた
こんにちは、坂本りゅういちです。
つい先日、CDを借りようと思って近所のTSUTAYAさんに立ち寄りました。
お目当のCDを見つけてホクホクでレジへ向かうと、その途中に気になるコーナーを見つけてしまいました。そこにはこんなPOPがデカデカと掲げてあります。
『NOTジャケ借』 ー敢えて見ないという借り方。
目隠しされた女性が何かを探している写真とともにコーナーが作られていました。
”ジャケ借”とは、CDのジャケ買いなどと同じで、内容を無視してDVDのパッケージ(ジャケット)だけを見て借りること。
それが面白いかどうかはその時の運次第で、面白い作品に出会えればラッキーくらいの感覚で行なわれる行為です。
私はあまり映画を見ないタイプなのでDVDをレンタルする機会は多くありませんが、昔から音楽はよく聞いていた方でCDを借りたり買ったりする機会はたくさんありました。
そうしていくうちに段々とお目当のものも少なくなっていき、新しい自分が知らない世界に出会いたくなってきます。でもなかなか見つからない。そんな時に、「これ面白いな」と思ったジャケットだけを見て借りたり買ったりすることがありました。まさにジャケ借(ジャケ買い)です。
映画でも玄人になればなるほど、全く知らない世界が知りたくて気になるジャケットだけで借りるというジャケ借りは行われていたわけです。
そして私がそうだったように、おそらくジャケ借りが積み重なっていくことで、それにも物足りなさを感じ出す人も現れます。
TSUTAYAさんはそんな玄人の気持ちを察してか、さらに上をいく借り方を提唱してきました。
それが”NOTジャケ借”です。
実際にそのコーナーを見てもらえばわかりますが、並んでいるDVDのパッケージは一切見えないようになっています。何が入っているかは全くわからない状態です。
ただ面白いことに何も情報がないわけでもありません。
パッケージにはほんの一言だけ、中に入っているDVDの内容が書かれているのです。
「愛したい人も、愛されたい人も…」
「涙で顔面崩壊してみないか?」
「殺るか、殺られるか。」
「絶対に会いたくないランキング、ぶっちぎりの1位。」
「とにかくパパが強くて全員ボコボコにします」
…どれも気になる一文ばかりです。
”NOTジャケ借”では、その時の『直感に従ってお選びください』と提唱されているので、これらの気になる一文を読んで借りるかどうかを選択することになります。
うーん、これは面白い。
少し前に、書店で話題になった『文庫X』というものがありましたが、それともまた少し雰囲気の違う見せ方というか提案の仕方ですよね。
ワクワクを生み出そう
この企画を見て痛烈に感じるのは、”ワクワク感”がお店には大事だということです。
長くお店に通っているお客様は、最初の頃と比べてワクワク感が薄れていきます。店を知れば知るほど居心地は良くなっていきますが、目新しさやそれによる楽しさみたいなものは無くなっていきますよね。
そこに新しい何かに出会えるかもしれないワクワク感が生まれると、また新たな気持ちでお店の良さを体感することができます。
新しい商品が入荷していたり、新しいサービスが始まるというのもこのワクワク感に繋がることです。
”NOTジャケ借”では一文だけ文章が書かれているというのも、人によってはクイズ感覚でなんの映画か当てようとする人もいるかも知れません。これも一つのワクワク感というやつでしょう。
ちなみに、この手の企画を小売業で簡単に真似しようと思うと福袋的な企画を思いついてしまいがちです。ただ実は、TSUTAYAさんの企画は安易に中身が見えないというワクワク感だけの話ではありません。もっと別の大事な手法が含まれています。
何れにしてもこういう企画はどんどん広がってもらいたいと思います。
お客様が『楽しい!』と思えるものを生み出せるお店でありたいですね。