【接客販売指導者に贈る】接客マニュアルの作り方

manual

マニュアルは本当に必要なのか?

どこの会社にも何かしら”マニュアル”は存在します。

接客販売業で特に重要視されるのが、『接客マニュアル』。この接客マニュアルには必要か不要かという議論が絶えません。マニュアル通りの接客をしてしまうとお客様を不快にさせるから必要ないという意見もあれば、マニュアルに書いてある基本をしっかりできなければ個性的な接客はできないとかいろんな意見が飛び交っていますね。

 

個人的な意見を言わせてもらうと、マニュアルが必要かどうかは会社の哲学によると思っています。

会社としてお客様のために絶対にこの部分はやってほしい、ということがあればマニュアル化するべきですし、本当に自由に販売員個人の裁量でやってほしいというのであればマニュアルは不要です。

結局のところ、指導のために存在するというよりも哲学を浸透させるために存在するのが接客マニュアルの役割ではないでしょうか。

 

ところで指導者側に立つと、マニュアルを作る機会が出てきたりします。

経営者が最初に作るのが理想かもしれませんが、他に接客のプロと呼べる従業員がいるのならそちらに任せるというやり方もありますし、マニュアルの改訂を任される場合もあります。

 

実は私も接客マニュアルを作成した経験があります。

作っっていた当時は、マニュアルを読めば新人スタッフが接客販売のやり方で困ることが無いようにと考えて作っていました。

今思うとそれは失敗だったと感じています。

理由はいくつかあるのですが、一番はさきほど言った哲学がぼやけていたからです。

会社として、お客様の満足度のためにこれは最低限できるようになってもらわないと困るという部分をマニュアル化すべきだったのですが、あまりにも自分自身の接客論を組み込みすぎました。そのため、新人スタッフが見ても極めて業務的なマニュアルでしかなかったと思います。

もう一度作り直せるのなら、もっと書かなければいけないことがあるので書き直したいです。

 

会社の哲学とは具体的にどういうことか

哲学と言葉だけで言っても少々意味がわかりにくいですよね。すこし解説します。

 

例えば、『いらっしゃいませ』とお客様が来店した時に挨拶をする、とマニュアルに入れるとします。

もし、その『いらっしゃいませ』が『こんにちは』でも『ようこそお越しくださいました』でもいいのであればマニュアルには書くべきではありません。

なぜ『いらっしゃいませ』なのか。その言葉を使うことが会社として絶対的に良いから使うという哲学があるのであれば、それはマニュアル化するべきことなんです。

要は会社としての方向性をブラさないようにする必要があるわけです。

人によって『いらっしゃいませ』と言う人もいれば『こんにちは』と言う人もいる。そうなると、従業員それぞれの意識がブレ出します。これは挨拶なのでまだいいと思うかもしれませんが、こういった小さいことの一つ一つの積み重ねが会社を形作っていきます。

最終的に釣銭を片手で渡す人もいれば、両手を添えて大事にお渡しする人も現れて来たりします。

これが会社の哲学の意味です。

 

この部分だけは絶対にやってもらわなければいけない、そうでなければお客様に対して接客をしていいレベルではないと感じることがあればマニュアルにどんどん入れてください。

それが例え分厚い100ページのマニュアルになろうともお客様のためになることであれば盛り込んで作るべき。読み手も大変にはなりますが、研修をしっかり設けるなどして学ぶ機会を作れば問題ありません。逆に1ページで伝えられるのであればそれで充分。

これからマニュアルを作ろうとしている人は、思いつくことを書き出してそれが会社の哲学に照らし合わせてどうなのかを判断材料にしてください。そうすれば、通り一辺倒のマニュアル接客にはならないためのマニュアルが出来上がるはずです。


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ABOUTこの記事をかいた人

接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori(ここり)代表。 SC接客マイスター1級。 アパレル・時計・靴・リラクゼーション業界など、様々な販売を経験し、売上日本一など数々の実績を残す。kocori設立後は、企業研修・コンサルティング、講演などを中心に活動している。