関西で接客をしていて気づいたこと
以前に関西のある場所で販売をしたことがあるのですが、その当時、とても勉強になったことがありました。
関東や他の地域でもたまにあるのですが、関西のお客様は、”お客様同士のコミュニケーション”が他の地域と比べてすごく多いのです。特にご年配のお客様同士のコミュニケーションの量は、尋常ではありませんでした。
(良い意味で、コミュニケーションを取ることに抵抗のない、関西の人特有のものなのかもしれません)
接客をしている最中に、販売員とお客様という一対一だけではなく、別のお客様も交えた会話がそこかしこで起きていました。
「あなたそれ似合うわねぇ」
「あなたのもいいわねぇ、どこにあったの?」
「これなんか良いんじゃない?あっちで売ってたわよ」
こんな会話が、そこかしこでバンバン繰り広げられます。(その時は全部、関西弁でしたけども)
そして興味深いことに、こういうお客様同士での会話が起きているお客様は、皆さんほとんどが、お買い上げにつながっていました。これは関西だけに限った話ではなく、他の地域で同様のことが起こった場合でもそうだったのです。
同じ”好き”が生むもの
同じ店、同じ商品を買いに来ているお客様というのは、ある意味で一種のコミュニティに属しています。
・このブランドが好き
・この商品が好き
・この店が好き
こういった共通の意識や想いを持った人のコミュニティです。これがあるからこそ、同じ場所(店)に集まっているとも言えます。
そんな人たちが集まってコミュニケーションが生まれると、販売員だけの力では難しいことがお客様同士の中で自然に発生していきます。共通の”好き”が存在している場所で、共通の思考を持った人と会話をすることによって、楽しさや共感が生まれるんですね。
例えば、お客様同士が商品について「あれが良い」といった会話をしてくれると、販売員が勧めるのとは違う信ぴょう性があります。販売員から売り込まれるだけではなく、同じ立場のお客様から意見を聞くことで自分の判断の材料にすることができるわけです。
また、なぜその店や商品が好きなのかを語り合ってくれると、お互いの自己肯定も生まれて、「やっぱりこの店(商品)を好きで良かった」と安心してもらえる可能性もあります。同じ”好き”を持っている人同士のコミュニケーションでは、こんなこともよく起きますよね。
そうやって、お客様同士がコミュニケーションを取ることで、より一層、その店や商品のことを好きになってくれます。
もちろん、こういうコミュニケーションを嫌がるお客様もいますが、お客様同士がコミュニケーションを取ってくれることで、もっと自社のことを好きになってもらえる可能性は高まるのです。
『スノーピーク』というアウトドアブランドの企業が、お客様と一緒にキャンプなどをするというイベントが有名ですよね。個人的には、ああいったイベントも同様のことだと思っています。
商品やイベントを楽しんでもらうのと同時に、同じ”好き”を持つお客様同士でコミュニケーションを取ってもらうことで、より”好き”を深めてもらえるのではないでしょうか。とても素晴らしい企画だと感じます。
販売員ができることは?
では、販売員がお店の中でできることはあるのでしょうか?
スノーピークさんが正にそうですが、ああいったイベントを企画するというのも良いと思います。
お客様同士が交流できるようなイベントを企画して動かすことができれば、ファン同士のコミュニケーションを取る場として重宝されるかもしれません。現に、お客様を集めて、商品の使い方をレクチャーするようなイベントや、単純に楽しんでもらうためだけのパーティー企画をやっているお店も多数存在しています。
でも、イベントだけではなく、普段の接客の仕方もとても重要です。
例えばですが、私が接客していた中では、たまたま位置が近かった顧客同士を紹介しあったこともあります。
顧客Aさんを接客している最中に、別の顧客Bさんが近くにいて、「そういえば、Bさんもこの商品好きでしたよね?」みたいに話を振ったりしていたのです。
すると、「そうなのよ。これはいいわよ〜」なんて会話が盛り上がったりする場面もありました。
いうまでもなく、こういったことを嫌うお客様相手にはできないので、相手を選ぶ必要はありますし、タイミングも慎重に図らなければいけないので、簡単なことではありません。何より、お客様と販売員の関係性ができていることが大前提です。
しかし、一度お客様同士でのコミュニケーションがハマると、そのお客様たちは、お互いに”好き”を共有し合うことができ、より一層ファン化が進むものです。
あなたのお店で、従業員とお客様が一緒になって会話をしたり、コミュニケーションを図れる方法が何か取れたりしないでしょうか?
うまい方法を見つけることができれば、より一層根強いファンが増えるかもしれません。