混同しないように気を付けよう
小売業でよく使われる言葉、”リピート率”。
この”リピート率”という言葉を間違って使っている販売員をよく見かけるので、念のためにご説明しておこうと思います。(ちゃんとわかっているよ、という方は読み飛ばしてもらってOKです。)
”リピート率”とよく混同して使われてしまっている言葉に”リピーター率”というものがあります。この2つは似ているようで全くの別物です。これを理解していないと、見ている指標がズレてしまって正確な数字がわかりません。
まずは、一番使われているであろう計算式をざっくり書いておきますのでご確認ください。一か月の単位で見てみます。
・当月リピート率=当月リピート客数(人)÷累計新規顧客数(人)×100
・当月リピーター率=当月リピート客数(人)÷当月来店顧客数(人)×100
すでに計算式が違いますね。それぞれ詳しく解説します。
リピート率
・当月リピート率=当月リピート客数(人)÷累計新規顧客数(人)×100
”リピート率”は今までに購入してくれたお客様のうち、どのくらいのお客様が当月に再度購入してくれているかを見るための指標です。
アパレルショップがオープンしてから、累計の新規顧客数が2,000人だったとします。当月のリピート客数が200人ならば、その月のリピート率は
200人÷2,000人×100=10%
と求められます。勘違いして計算していた人からすると驚きの低さかもしれませんね。
この数字を上げるためには、とにかく一度でも来店してくれたお客様に再度来店してもらうしかありません。2,000人のお客様がこれまでに来てくれたのなら、その2,000人のお客様をどれだけ虜にできるか、自分たちのファンにできるかが勝負です。また来店頻度を上げることも必要になってきますね。
(今回は当月で計算をしていますが、年間の数値を重要視する場合もありますし計算式はこの限りではありませんのであしからず)
リピーター率
・当月リピーター率=当月リピート客数(人)÷当月来店顧客数(人)×100
”リピーター率”は当月に購入してくれたお客様のうち、どのくらいのお客様がリピート客なのかを見るための指標です。
さきほどと同じようにアパレルショップを例に出すと、当月のリピート客数が200人で、当月の来店客数が400人だった場合、
200人÷400人×100=50%
と求められますね。
この”リピーター率”を”リピート率”と勘違いして使っている人が多いのですが、そうなると非常に危険なんです。
リピーター率は、新規客数が減ってリピート客数が変わらない場合にも自然に上がってしまいます。たとえば、当月のリピート客数が200人だったとしても、来店客数が250人に落ち込んでいたら
200人÷250人×100=80%
とえらく高い数値が出てしまいます。これをリピート率だと勘違いしてしまったまま、『リピート率が上がったぞ~』なんて喜んでいるとエライ目にあってしまいます。
”リピーター率”はあくまでも、特定の時期に来店してくれたお客様のうちのリピーターの割合でしかありません。この2つを混同しないように注意しておきましょう。
感覚的に知ることも大事です
できるだけ明確にこういった数字は把握してもらいたいところなのですが、感覚的に動向をつかむことも意外と大事なことだったりします。実際、オープンからの新規顧客数を完璧に把握している店はなかなかありませんからね。
なので、当月にでもサクッと理解するための方法を。
case1.もしあなたの店の新規来店客数が以前よりも減っているのに、全体の客数が変わっていなかったら?
これはリピート率が上がっているということです。リピーターが増えているおかげで全体の客数が底上げされているわけですから、リピート率も自然と上昇します。
case2.もしあなたの店の新規来店客数が以前よりも増えているのに、全体の客数が変わっていなかったら?
これは逆にリピート率が下がっています。この場合はリピーターになってくれる人が減っているので、一過性の新規客増に頼ってしまっている可能性も出てきます。けっこう危険度が高めなので要注意ですよね。
こんな感じで、感覚的に今の状況がどうなのかを理解するだけでも対策を変えることができます。
『ちょっと最近あんまりリピーターさんが来てくれてない気がするな~』とか感じたら、すぐに今月の数字と先月や前年の数字を比べてみましょう。そこでどんな違いがあるかを見つけられれば、やることも明確になってきます。
ぜひご参考までに。
次回は、”リピート率”を上げるためにはやってもらいたいことについての記事を書くつもりですのでお楽しみに!