店の外での意識
私が好きなとあるファッションセレクトショップの前を通った時に、店の中から、おそらく休憩に向かっているであろう販売員が出てきました。
財布とスマートフォンだけを持っていて、ファッションの様子から考えても誰の目から見ても、その店の販売員だろうとわかるような人です。
私自身も「休憩だろうな」と思ったのですが、少しショックだったことがあります。
足元がサンダルだったのです。
ファッション的にサンダルを履くことはもちろんありますが、その人はどう見ても違いました。
休憩のために、サンダルに履き替えて外に出ようとしたのでしょう。
とても厳しい話かもしれませんが、お客様はこういう時も販売員を見ています。
ファッションセレクトショップという、常にお客様からファッションを見られる立場の販売員であれば、余計にです。
でもその意識がなく、休憩だからと言ってサンダルで店内を歩いてしまったり、その瞬間を見られているとは思わずに外に出てしまう販売員はいます。
この辺の話って、本人や店の意識ひとつだと思うのです。
販売員は、店にいる間だけが販売員ではありません。
厳しい話ですが、店をやっている/店で働いている以上は、店の外に出たとしても販売員なんですね。
自分自身がどう思っていようと、お客様からすればそう見えてしまうのです。
例えば、もしあなたのよく行くお店の販売員を外で見かけたと想像してみてください。
極端な話、その販売員がとてもマナーの悪いことをしていたとしたらどう感じるでしょうか。よくあるのは、喫煙所でもないところで喫煙をしているなんて様子です。やっぱりガッカリしてしまいますよね。
サンダルの件については、そこまでのことでもないですが、アパレル販売員ならばどこでお客様に見られても、常にカッコよく・可愛くいて欲しいと思うわけです。
同じようなことが、接客についても言えます。
店の外に出る時に、販売員モードを解除してしまう人はたくさんいます。
店の敷居をまたいだ瞬間に、販売員ではなくなると思ってしまうのかもしれません。
でも、お客様はそうは思ってくれないのです。
実際にあった話なのですが、あるお客様が気になる商品を見つけて店の外からショーウインドウを覗いていました。
すると、中から販売員が出てきたのですが、どうやらその人は別の用事か何かで店を出ようとした様子でした。
それだけなら別に何ともありませんが、店を出る時、ウインドウを見ていたお客様を無表情でじろじろ見ながら歩いて行ったそうです。
そのお客様は、販売員の様子にちょっと嫌な思いをして、結局その店には入らなかったそうです。
常に販売員としての意識を持っている人であれば、たとえ別の用事で外に出る時だったとしても、お客様には笑顔でいるでしょうし、「中にこんな商品があるので、どうぞ」と声をかけていたことでしょう。
その意識ひとつの差が、一人のお客様を失う原因になってしまっているのです。
たった一人のお客様が、今の時代ではとても貴重なお客様です。
リアル店舗で買い物をする人が減っている今、それは皆さんがよくご存知のはず。
だからこそ、店の外での意識ひとつでお客様を失ってしまうなんてことは、絶対に避けなければいけませんよね。
全スタッフが店を出る時、店の外にいる時に、どんな意識を持っていなければいけないか。しっかり共有しておきましょう。