商品知識は自社以外にも
接客販売をやっている以上、自社の商品や歴史・沿革などについて詳しいのは当然です。
お客様からすると、新人だろうとベテランだろうとそのブランドのプロフェッショナルなのですから聞いてわからないことがあるのは困るわけです。
だからこそ、販売員は必死になって商品について学びます。
この商品のポイントは何か、どこが売りなのか、メリット・デメリットはどんなところか、どんなシーンで使うと良いのか、作った人はどんな想いで作っているのかなど、挙げればキリがありません。
ですが、必死に調べ上げた商品知識が役に立つかどうかはもっと別の問題が出てきます。
例えば、お客様を接客していて「この商品が気になるけど、あのブランドの商品と比べてどうなのかしら?」と聞かれた時。
あなたは答えられますか?
お客様はわざわざ口に出さずとも必ず何かと比較をしています。それは自社の商品である場合もあれば、他社の商品であることも多いのです。
自分が買い物をする時のことを思い浮かべてください。
せっかくお金を出して買おうというのです。衝動買いだとしても、今の時代、携帯を使えばすぐに比較対象を調べることができます。その比較対象である商品やブランドを調べて、今買おうとしている商品は本当に優れているのかどうかを知りたいというのが本音ではないでしょうか。
だって損したくないですから。
買った後で、他の商品の方が実はよかったなんてことになったらガッカリですよね。それは自分もお客様もきっと同じです。
だからお客様のその不安を販売員は取り除いてあげなければいけないんです。
不安を取り除くには、比較対象である他社の商品についても知っておく必要があります。
自社商品と比べて何が違うのか?他社商品はどんな点が優れているのか?そのポイントを自社商品は押さえられているのか?他社の魅力に負けない自社の強みは何か?どんな伝え方をすればお客様に伝わるのか?
こういったところを押さえられている販売員は必ずお客様に支持されます。
自社のことしか知らない販売員は自社の説明しかできません。それはお客様が求めている接客ではないのです。
知るべきことは同業だけではない
他社のことについても学ぶ必要があることはわかっていただけたでしょうか。
では、もっと売れる販売員になるために必要なことに進んでいきましょう。
もっと売れる販売員は、同業者以外の知識が豊富です。
これはどういうことか?
あなたが売っている商品が”洋服”だったとします。
洋服のブランドなんて世界中ごまんとありますから、いくら調べても調べ足りません。そういう時ほど洋服について詳しくなろうと自社・他社問わずいろんなことを調べ上げます。
しかし、売れる販売員は洋服以外の情報にも集中するのです。
例えば”シーン”。 ”場面”とでも言った方がいいでしょうか。
その洋服がどんな場面に合う洋服なのかを理解していますか?偉い人が集まるパーティーに出る時に着ていっておかしくない洋服はどんな洋服ですか?初対面の人が多いビジネスセミナーではどうですか?
例えば”文房具”。
コーディネートした格好に必要な文房具はどんなものがあるでしょう?モンブランの万年筆の方がいいのか、ファーバーカステルのボールペンの方がいいのか?どんな色味ならいやらしく見えないのか?それとも、もっと機能性に拘った最新の文具があるのではないか?
例えば”ワイン”。
本社が創業した土地がフランス南西部だったら、そこの地域の人たちは皆その洋服を着てボルドーワインを嗜んでいるかもしれない。どんな人たちがその洋服を着て、どんなワインを飲んでいるのか?そんな話をお客様にしてあげられたら、ブランドを愛して現地に行ったお客様が現地の人と仲良くなれるかもしれない。
こんな未来まで想像して知識を付けられる販売員は必ずお客様に愛されます。
それは洋服を売るだけではない、お客様に楽しんでもらう未来を売っているんです。
自分が学んでいる情報は本当にお客様にとって大切なことですか?
勉強したことに自己満足して、それで本当にお客様のことが見えていますか?
そんな未来のお話をお客様にさりげなくしてあげられる販売員でありたいものです。