若い女性客をターゲットにしているのに…
あるショップへコンサルに入った時に、こんな話をされたことがありました。
「若い女性にもっと来店してもらいたくて、SNSで発信しているんですけど、全然効果がなくて…」
聞けば、20代前半くらいの女性客を増やしたいと、Instagramや、Twitterなどを使って、発信をしているものの、一向に閲覧数は上がらず、お客様も来てくれないということなのです。
それで、実際に発信している内容を見てみると、これがどう見ても、男性が作っているとしか思えない内容の投稿ばかりでした。写真も可愛いとはとても言えない写真ばかりですし、「そんな数字のデータって必要ですかね?」と言いたくなるような投稿ばかり。
これではとても、20代前半の女性客に興味を持ってもらえることはないだろうなと感じる内容だったのです。
そこで、疑問に思って、こう聞いてみました。
「この発信は、どなたがされているんですか?」
「え?私ですよ?」
聞いたその相手のスタッフの方は、40代の男性だったのです。
これでは、よほどその男性スタッフが女性的な感覚を持っているか、マーケティングのセンスがない限りは、効果が出ることはありません。
こういうことが、ショップという現場では、本当によく起こっています。
お客様が欲しい情報とは違う
ターゲットにしているお客様が求めている情報は、それぞれで違います。
男性か女性かという違いもあれば、年齢による違いもありますし、具体的にどんな仕事をしているかであったっり、知識レベルがどのくらいなのかによっても、変化します。
それらをしっかり見極めて、ショップは情報を発信していかなければ、大した効果は見込めないわけです。
だから、自分たちの出している情報が、本当にお客様が求めている情報になっているかどうかは、常に確認を怠ってはいけませんよね。
20代前半の女性に対して、『このヘアアイロンはこんな性能を持っています!』と、延々と機能説明を続ける発信をするよりも、『このヘアアイロンを使えば、朝のヘアセットにかかる時間が半分になります!』と発信した方が何倍もわかりやすく、興味を引くことができます。
(あくまでも一般的な話ですが)その世代の女性は、商品のスペック(機能や性能)よりも、それを使うことで得られるメリットを知りたがっているのです。
ですから、そんな情報をいかに出していけるかが勝負の分かれ目と言えるでしょう。
当事者の声を大切に!
では、どうすればそんな情報を提供することができるのでしょうか?
答えは簡単。当事者の意見を聞くのが、最も手っ取り早いです。
冒頭に出てきたショップの話に戻ります。
そのショップには、20代前半の女性スタッフが、すでに在籍していました。入社してからまだ日が浅いものの、すでに身内にそんな存在がいたのです。
しかし、その店の情報発信には、一切携わっていませんでした。入社したばかりだし、まだ若いからよくわからないだろうと、意見を求められたことがなかったのです。
でも、実際にその方に話を聞かせてもらうと、続々と良い意見が飛び出してきました。
「私だったら、この書き方だとよく意味がわかりません」
「この写真を見ても、文章を読もうとは思いません」
「こういう写真の撮り方だったら、可愛いと思います」
「この文章をもっと簡単に、3つくらいにまとめてもらえると読みやすいです」
まぁ出るわ出るわ…
これまで男性スタッフが悩んでいたことが嘘のように、どんどん良質な投稿内容が出来上がっていくのです。
後で男性スタッフの方は、「もっと早く聞いておけばよかった」とこぼしていました。私も本当にそう思います。
この話はあくまで、一ショップのお話で、もちろん、狙ったターゲット層のスタッフがお店に常にいるとは限りません。
しかし、『当事者』になり得る人はどこにでもいます。
それは、お客様かもしれないし、自分たちスタッフの家族かもしれません。
何なら、そういう人たちが集まる場に出かけて行って、直接話を聞くことだって、そんなに難しい話ではありませんよね。本当にお客様のためにやろうと思えば、いくらでも方法は見つかります。
20代前半の女性客に、発信をしたいのなら、20代前半の女性に意見を聞いてみる。
50代を過ぎた男性客を集めたいのなら、50代を過ぎた男性に意見を求めてみる。
『当事者』ほど、わかりやすい答えを持っている人はいません。あなたのお店で情報を発信しているなら、そして、特定の誰かを狙って発信をしているのなら、今すぐ『当事者』に話を聞きに行きましょう。
そこからようやく発信内容の検討が始まります。