新人販売員向け/客単価アップに向けた複数販売の最大のコツ

こんにちは、坂本りゅういちです。

客単価アップの話もそろそろこの辺でと思っていますが、もう少しだけ。今回は複数販売をしていく上での最大のコツについてお伝えしておきます。

この話はメールマガジンやブログの創刊当初から伝え続けていることでもあり、書籍『買った後を想像させれば誰でもこんなに売れる!』にも書いている『マイナスの提案』というやつです。

マイナスの提案を簡単に説明すると、購入決定時に引き算で商品を決めてもらうことを言います。

前回までで追加提案が難しくなる理由についてはお伝えしました。

買う商品を決める時に、さらに追加で違う商品(少額ではない)を足していくのは、心理的に買いづらいという話でしたよね。

マイナスの提案ではそうならないように、先に商品をしっかり見てもらい、候補を増やしておきます。

最終的に買う商品を決めるタイミング、接客で言うクロージングのところで引き算をしながら決定してもらうため、マイナスの提案と呼んでいます。

ここでのポイントは、『1か0』にしないという点です。

お客様が買う商品を決める時、たとえば購入する候補が1点しかなければ、その商品を「買うか買わないか」で判断することになります。

これが『1か0』の状態です。

買うと決めてもらえれば売上には繋がりますが、買わないとなれば売上はゼロです。

実際の確率は変動しますが、1か0だけで考えると五分五分です。

この『1か0』の状態を変えるには、「買うか買わないか」ではなくて、「どれを買うか」に意識をシフトしてもらう必要があります。

そのために、購入決定前にいくつか商品の候補を増やしておき、「この中からどれを買おうかな」になってもらいたいのです。

候補となる商品が5点あったとしたら、5点全部を買ってもらうことは難しくても、「この中から2つ」「今日は3つ」となってくれれば良いわけですね。

すると自然と複数販売に繋がり、客単価も上がっていきます。

ここでのポイントは、むやみに大量に見せれば良いわけではなく、あくまでもお客様のニーズを汲んだ商品を提案することです。

「ジーンズが欲しい」というお客様にまるで関係のないスーツを提案しても、やっぱりそれは良い接客にはなりません。

ですが、ニーズを汲むというのは必ずしも「お客様の言うとおり」ではないという点には注意が必要です。

「ジーンズが欲しい」とお客様が言っているとしたら、ジーンズに合わせるトップスやアウターの提案もあり得ます。

また、ジーンズが欲しいというのはもっと広義で考えると『ボトムスが欲しい』ということでもあります。

それならジーンズをある程度絞りながら、「ジーンズ以外にもこういうものもあると便利ですよね」とチノパンやスカートを提案するのもありでしょう。

いくつかのボトムスを提案しつつ、「今回はジーンズが欲しいけど、確かにチノもあると便利そうだな」と感じてもらう接客になれば、1か0ではなく、3のうちの2にしようかなと意識も変わっていきますね。

これでジーンズだけの提案になると、ジーンズの型違いくらいでしか提案ができなくなります。すると、「どれを買おうかな」の選択肢は結局1か0のままです。

型違いで数本というパターンもあるにはありますが、少々可能性は下がります。

マイナスの提案については、販売員としてはまず身につけておきたいことだと考えています。

お客様の心の動きを知り、どうすれば買いたくなるのか。

もちろん提案の仕方も、何も考えていなければ単なる売り込みになります。そうならないための商品の持って来かたも考えておかなければなりません。

次回はその辺りについてお伝えします。

今日の質問&トレーニングです

1)商品提案の時点で「1か0」の提案にならないようにするには、どんな提案をすれば良いと考えますか?

2)実際に練習をしてみて、そのやり方の質を高めていきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori(ここり)代表。 SC接客マイスター1級。 アパレル・時計・靴・リラクゼーション業界など、様々な販売を経験し、売上日本一など数々の実績を残す。kocori設立後は、企業研修・コンサルティング、講演などを中心に活動している。