各界で活躍している達人たちの仕事の流儀。作り手の想いやどんな思考で販売をしているのかなど、商品販売の新たなヒントを手に入れてください。
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今回は有限会社小川顕三陶房代表取締役小川記一さん。
創業者で信楽焼の伝統工芸士でもある父、小川顕三さんの姿を見て陶芸の道へ。2007年にはご自身も伝統工芸士となられています。現在は『しがらき顕三陶芸倶楽部』というゲストハウスも併設する工房を運営されており、そこで陶芸体験を行っておられます。
『しがらき顕三陶芸倶楽部』http://www.tougei-kenzo.com/
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いざ信楽へ
陶芸未体験の私(坂本)はプロに教えてもらいながら陶芸体験ができるという話を聞きつけ、滞在していた滋賀県大津市から早速電話。
「急で申し訳ないのですが、2時間後くらいに行っても体験できますか?」との無茶な問いに「大丈夫ですよ~」と優しく答えてくれました。そんなわけで急遽信楽へ。
電車を乗り継いで2時間かけて信楽へ到着。

いきなり信楽焼で有名な『たぬき』が出迎えてくれました。

駅を出たすぐ左手にはかなりのサイズ(3mくらい)の『たぬき』も。タクシーに乗り込みいざ『しがらき陶芸倶楽部』へ。約5分ほどで到着。


大きな母屋を抜けた先にありました。オシャレな建物。こちらが工房兼ゲストハウス。

小川さんにお出迎えいただき、早々に陶芸体験へ。ろくろや手びねりなど数種類からやり方を選べるそうですが、せっかくなので電動ろくろを使用したやり方を教えてもらいました。

(こんな器具を使います)
一つずつ懇切丁寧に教えてくれ、苦戦しながらもなんとか3つほど完成。(相当手伝ってもらいましたが)

約1か月ほどで、自宅に届けてくれるそうです。
この後、2階のリビングルームでコーヒーまで淹れてもらいお話を聞かせてもらいました。
楽しさを知ってもらう
体験中も印象的だったのが、『土に触れて楽しさを知ってもらう』というスタンスを持ってらっしゃったこと。確かに大人になった普段の生活ではなかなか体験できない土いじりをやっていると段々と楽しくなってきます。陶器の良さを知ってもらうためにと言うよりは、単純に『陶芸はこんなに楽しいものなんだ』ということを身体で理解してもらおうという意識があるのだと思います。

(2階への階段を上ったところには展示販売も。この焼き物を見て自分の作品の色決めなどを行います)
海外からのお客様も多いそうで、先日はスイスから車移動(!)で来られた方もいたのだとか。陶器の良さは海外にはなかなか無いという点も魅力だそうです。
陶芸体験とゲストハウス
『しがらき顕三陶芸倶楽部』では陶芸体験と同時にゲストハウスに宿泊ができます。
信楽の美しい自然の中で、作品作りに浸るも良し、自然を楽しむも良し、陶芸談義に浸るも良しと訪れた人それぞれの楽しみ方ができるのです。これはただ商品を知ってもらうだけでなく、その背景までもともに楽しんでもらうことができる素晴らしいシステム。
”商品を売る”ことだけに注力してしまうと、本当の商品の良さはお客様には伝わらなくなります。非常に学ばされるポイントです。
拡大への道
私(坂本)が東京で百貨店絡みの仕事をしているという話からそういった展開の話も。やはりもっと沢山の人に信楽焼の良さ、小川流の焼き物の良さを知ってもらいたいというお話も出ました。
実際、並んでいる焼き物は陶器としては非常に面白い色合いや風合いのものも多く、もっと多くの人の目に留まるべき価値のあるものばかりです。信楽という土地を愛してらっしゃるだけに、という想いがひしひしと伝わってきました。東京に限らず、日本の伝統工芸の良さをアピールすることは販売においての一つの道なのかもしれません。
いろいろとお話を聞かせてもらい、大変有意義な時間を過ごさせてもらいました。最後は雨が降ってきたこともあり、わざわざ駅まで車で送っていただきました。本当にお世話になりました。小川さんの写真を撮り忘れるという大失態をおかしまして大変申し訳ないです。次に行ったときはもう少し写真の勉強もしておこうと思います。

(創業者であるお父様の小川顕三さん)
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〇小川記一氏
信楽焼伝統工芸士
有限会社 小川顕三陶房 代表取締役