商品を投入するなら、それに見合った知識を身につけさせてほしい

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各社とも商品投入の幅は広がるも…

今アパレルショップに行けば、洋服だけではない様々なアイテムが陳列されています。

たとえばスーツショップなどでは、スーツ以外にコーディネートに欠かせない靴、時計、バッグなどが整然と並べられていますよね。カジュアルな衣料を取り扱うショップでも、同様で、アクセサリー類なども豊富に取り扱っているショップはいくらでもあります。

こんな光景はどんな店に入っても見られるものです。

トータルコーディネート提案として、お客様のライフスタイルに食い込んでいくためにはこういった商品を取り扱っていくことも求められているでしょう。

ただ、そういった商品を取り扱う販売員たちの知識はどうなのでしょうか?

この点に関して、個人的にずっと疑問を抱えてきました。(現在進行形で疑問を抱えています)

扱っている商品の幅は各社とも広がっているのに、あまりにもそれに見合う知識や技術を持った販売員が少なすぎるのです。

靴を扱っているのに、靴のお手入れに関してどころかフィッティングの方法すらもよく知らない。時計を扱っているのに、どんなシーンに着用するべきなのかマナーをよく知らない。

そんな現状が販売の現場には蔓延しています。

なぜそうなってしまっているのか?

販売の現場で知識不足が蔓延しているのは、なにも販売員のせいとは言い切れません。

確かに販売員が自ら調べて学ぶことは重要と言えます。ですが、彼らにとっては学びようがない現状もあるのです。

日頃の業務に追われて時間が取れないこともそう、学ぶと言ってもどう動いていいのかわからないこともそう。大量に続々と投入される商品の知識を付けることに必死で、元来学んできていないジャンルの商品勉強をするのは簡単ではありません。

それなのに本社からは新しいアイテムが次々に送られてきます。そして一緒になって送られてくるのは、コンセプトと簡単な商品説明が書かれた紙切れ数枚だけ。

これでは現場の販売員がよくわからないままに商品を販売してしまうのも仕方ないのです。

商品知識がロクにないまま商品を売ってしまうと、その後に必ず影響が出てきます。

靴を購入したお客様は、合わない靴を履き続け足にトラブルを抱えていきます。

そのことに悩んで病院や靴の専門店に行ったときに、「この靴が合わないのが原因ですよ。どこで買ったの?」なんて言われてしまった日には、購入した店や売った販売員の評価は地に落ちます。

結果、お客様は店や販売員に対しての信用を失くしてしまい足が遠のいてしまいます。

極端な話かもしれませんが、少なからずこんな事態はどこかで起きているのです。(靴や時計を販売していた経験から、こんな状況に陥っているお客様は何度も見てきました)

商品を投入するなら、必ず商品知識を身につける

こういった良からぬ事態になることを防ぐためには、やはり確実な商品知識を身につける機会が必要です。

真面目な話、口頭の簡単な説明や紙切れ数枚で伝えられるほどそれぞの商品知識は甘くはありません。

靴のフィッティングやお手入れはしっかりと学んで初めて身に付くものですし、時計にしてもアクセサリーにしてもマナーやお手入れに関する知識は同様のものです。

どんなジャンルの商品でも、簡単に「売れればいい」などと考えていられるほど甘い商品など存在しません。

それぞれには、それぞれに想いを持って商品を作り出している人たちがいます。その想いに応えられるだけの知識が無いままでは、お客様だけではなく作り手にとっても失礼にあたります。

だからこそ、しっかり学ぶ機会が要るのです。

靴に関してなら、フィッティングを毎日やっているような靴の販売員や職人に話を聞く。お手入れのプロだってたくさんいるのですから、そういった人たちに指導を仰ぐ。

時計のような精密機器でも話を聞ける人はいますし、アクセサリーだって作り手の想いや使ってほしいシーンなどを明確に教えてもらうことだってできます。

それが勉強会のような形式なのか、ブックと動画を利用した形式のものなのかは問いません。

全員を集めて研修などはとてもできないこともあります。それでも遠隔地の販売員にでも確実に行き届くように、アイデアを出せばいいだけなんです。

本社サイドではそういった指導を徹底していくことが求められているのではないでしょうか。

店ごとや販売員ごとにもやれることはある

もちろん本社サイドにばかり頼ってもらいられません。

現実問題として、コストと時間の問題はありますので販売員が自分たちでできることは自分たちでやっていくことは必要です。

商品知識を身につけるためにはいくつかの方法がありますが、確実にやってほしいことは、やはりその道のプロに聞くこと。

靴にしても、時計にしても、バッグにしても、その商品を専門で扱っている販売店や販売員はたくさんいます。そういった販売員の人たちの接客を自ら受ける、もしくは直接出会う機会を作って話を聞くことです。

実際に自分がお客様となって、本当の悩みや要望を伝えることでお客様の気持ちがよくわかります。欲しくなったらその商品を購入することで、なぜ買おうと思ったのか、欲しくなった理由を知ることもできます。良い商品が手に入ることもありますしね。

また相手によっては、勉強会の場を設けることで講師となってもらうこともできます。

しっかりと目的をお伝えし、場を設けることで協力してもらえる体制を作ることも一つの方法です。自分の知識の幅を広げることもできますし、今後の販売にも必ず役に立つことなので損をすることもありません。

過去にそういった経験をしている人が同じ店や会社にいるのであれば、その方々に協力してもらうのも一つの手です。

知識を持っている人がいるのであれば、その知識を最大限に活かしてもらうことで店全体のモチベーションアップにもつながっていきます。それぞれの得意分野を広めていくことで教える販売員自身の評価も高まっていきます。

いずれにしても、扱っている商品に関してはそれを扱う相応の知識を持っていなければお客様のためにはなりません。

売りっぱなしの商売ほどお客様の気持ちをないがしろにした商売はないのです。


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ABOUTこの記事をかいた人

接客販売トレーニング&コンサルティング事務所kocori(ここり)代表。 SC接客マイスター1級。 アパレル・時計・靴・リラクゼーション業界など、様々な販売を経験し、売上日本一など数々の実績を残す。kocori設立後は、企業研修・コンサルティング、講演などを中心に活動している。